光川十洋の感動表現|「虹との遭遇」

撮影旅行に行ったときは、目的の場面を求めていくものですが、思わぬ現象に出合う楽しみもあります。アイスランドでは雨にたたられましたが、虹との遭遇がよく起こりました。広大な溶岩台地に、広い空がもたらした結果ですが、雨雲の切れ目が遠くでも虹が見えることに気が付きました。そして、雲の流れが速いことが天気の変化をもたらすので、雨が降っていたかと思うと、急に止んで、高緯度特有の横から陽が差し出すのです。広い視界のおかげで、空の中に雨が降っている地域と、雲の切れ目から陽が射す地域が同時によく見ることができます。
山岳風景の中を雨中でも歩き回ることで、雲がよく変化して、遠方に部分的な虹を見つけることができました。また、氷河から流れ出す数多くの川が、滝を形成している地形がダイナミックで、陽が射したときは、滝に大きな虹がかかります。火山が生み出した複雑な海岸線では、波が岩にぶつかる場所があり、しぶきを観察すると感動的な虹を見つけることができます。
このような時のレンズは、ズーム比の高い広角ズームレンズが便利です。とくに、APSサイズで12mmという超広角は、35mm換算で18mm相当。虹の全容を1枚の画面に収めるのに好都合です。テレ側の28mmは準標準画角(35mm換算42mm)なので、水しぶきがかかりそうな場所でも離れて撮影ができます。窓ガラスに水滴がついている場合、最短撮影距離0.25mの便利さを生かして目の前のガラスの水滴にピントを合わせることもできました。
それでは、数多くの虹との遭遇の中から、特徴のある感動表現をセレクトしてみました。撮影データも合わせてご覧ください。

小雨模様の中、海岸近くの国道1号線を走ると、虹が見えました。氷河から出た水の流れが広がって、アーチの下を近くの海に流れ込みます。車窓から高速シャッターで。
 


◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:28mm 絞り:F/7.1  シャッタースピード:1/800秒 ISO感度 500  -1補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

丘陵地帯のトレッキングでは雨雲に覆われましたが、かなり遠くまで見通しがよいので、陽が射した瞬間に虹が出現します。日本にいると12時頃は虹が出にくい角度ですが、アイスランドでは9月でも太陽の高度が低いので虹が見られます。が、遠方で低く感じられます。
 


◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:15mm 絞り:F/13  シャッタースピード:1/125秒 ISO感度100   -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

雨の影響でできた水たまりを生かして撮影。上空に見える虹の色よりも、水面に映る虹の色のほうがはっきり見えます。色を強く出すために、マイナス補正をいたしました。
 


◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:19mm 絞り:F/20  シャッタースピード:1/100秒 ISO感度100   -2/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

海に面した岩場では、奇妙な形の岩が魅力的に見えます。波が打ち寄せるタイミングのうち、特に強い場合は、波しぶきがぽっかり空いた空間から吹き上がります。背後にある太陽の影響で、一瞬の虹が現れるので、観察をしてベストポジションで感動表現を試みました。
 


◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:24mm 絞り:F/8  シャッタースピード:1/125秒 ISO感度100   -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

スケールの大きな滝の滝つぼ周辺は、絶え間ない水しぶきが巻き起こります。強い太陽光のおかげで副虹もはっきり写りました。12mmという超ワイドの画角を利用して、近い虹を1枚の画面に収めることができました。
 


◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:12mm 絞り:F/11  シャッタースピード:1/125秒 ISO感度100   (APS-Cサイズカメラで撮影)

宿泊しているホテルの窓から外を見ると、今日もまた雨。陽が射してきて晴れの予兆で喜んでいるとき、「虹だ!」。このレンズは0.25mまで近接撮影ができるので、ガラスの水滴にMF(マニュアルフォーカス)でピントを合わせ、絞り込んで被写界深度を深くした結果、虹までもしっかりとらえることに成功。
 


◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:14mm 絞り:F/20  シャッタースピード:1/125秒 ISO感度200   -2/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)