千手正教の感動表現|星空を撮る⑤

今回は、話題の彗星46P(ウィルタネン彗星/公転周期約5.4年)がM45プレアデス散開星団(すばる/おうし座)に接近するタイミングで撮影してみました。

彗星は、動きが早く(と言っても目で追う様なスピードではありませんが)、恒星の動き(地球の自転)と異なるので、枚数を多く撮影してコンポジットすると星が流れて写り失敗したかと錯覚する場合もありますが、この46Pは明るい彗星で撮影日には、4等台と明るかったので1枚画像(撮って出しに近いもの)を見て頂く事にします。

 レンズ:SAMYANG85mmF1.4 AS IF UMC

  カメラ:Canon EOS-X7i(天文改造)

 赤道儀:Kenko スカイメモS(恒星時追尾/★マーク)

 露出:30秒×1枚

 撮影地:千葉県富津市豊岡

 彗星を明るく撮影する場合、彗星の動きに合わせて撮影する必要がありますが、それはなかなか難しい事です。最近は、前回ご紹介した様な天文に特化した画像処理ソフトがあり、彗星の動きに合わせたコンポジットをしてくれる機能も備えています。彗星の動きに合わせた撮影手法を「メトカーフ法」といいますが、この機能をステライメージ8は装備しているのです。この機能を使って20枚の画像をメトカーフコンポジットすると次の様な画像になり、先に記した様に星が流れているので失敗しているかの様に見えますが、これは彗星を見て頂けると失敗していない事が分かります。長い尾を引く彗星など、この手法であればさほど難しい撮影ではありません。SAMYANG85mmとスカイメモSの組み合わせでも十分撮影可能です。

 レンズ:SAMYANG85mmF1.4 AS IF UMC

  カメラ:Canon EOS-X7i(天文改造)

 赤道儀:Kenko スカイメモS(恒星時追尾/★マーク)

 露出:30秒×20枚

撮影地:千葉県富津市豊岡

この日は、ふたご座流星群という事もあり、流星を狙っていましたが、ピークは前日にあった様で、私の撮影したカットには、写ってくれませんでした。しかし、目的のひとつに「冬の天の川を綺麗に撮る」という目的もあったので、それぞれの画像を比べて頂き、皆様が「こんな写真を撮ってみたい」という参考にして頂けると幸いです。

シンプルに撮って出しに近いもの

 レンズ:SAMYANG14mmF2.8ED AS IF UMC

 フィルター:LeeNo.3

  カメラ:Canon EOS-X7i(天文改造)

 赤道儀:Kenko スカイメモS(恒星時追尾/★マーク)

 露出:120秒×1枚

 撮影地:千葉県富津市豊岡

10枚をコンポジットしたものでレベル調整のみ

 レンズ:SAMYANG14mmF2.8ED AS IF UMC

 フィルター:LeeNo.3

  カメラ:Canon EOS-X7i(天文改造)

 赤道儀:Kenko スカイメモS(恒星時追尾/★マーク)

 露出:20分(120秒×10枚)

 撮影地:千葉県富津市豊岡

 露出20分の画像をステライメージ8でトーンカーブと色調及びコントラストを調整した画像です。

撮影データは、上の画像と同じです。

 

 スカイメモSについては、前回の記事を参照して頂ければ幸いです。

それでは、また。

皆さんも満天の星空の下へ撮影に出掛けてみて下さい。

千手正教(せんしゅまさのり)

千手正教(せんしゅまさのり)

1965年、千葉県君津市生まれ。(同・富津市在住)。 沖縄県石垣島に魅せられ、現在「沖縄県石垣市」と「千葉県富津市」の二拠点活動をする自然科学分野のカメラマン。主に天体写真を得意とする。 ここ数年は地方創生に関わる官公庁からの依頼も多く、自然写真と観光PRを融合とした情報発信にも力を入れている。今年は、石垣市・富津市に加えて徳島県美馬市にも活動の場を広げている。また、千葉県や沖縄県のリゾートホテルでの星空ガイドや教育機関のプラネタリウムでは、番組制作~投影~解説までの一連の業務を請ける一方、千葉県市原市にあるFMラジオ局で毎週木曜日に二時間の生放送のワイド番組を長年にわたり務める人気パーソナリティとしても有名。飽きさせない語り口が人気となっている。