光川十洋の感動表現|鶴見線国道駅の昭和レトロ

「乗り鉄」「撮り鉄」にとどまらない「鉄人鉄」の知人が、『Tの駅ナカ探訪』を毎週執筆して送ってくるのを楽しんでいます。日本全国を何十年来味わってきている人が「首都圏で一番レトロ感のある駅は国道駅」と言われて、「なんだ!近くじゃないか!」。さらに「空襲時の弾痕がある」とも。起点・鶴見駅には毎月行っているし、第一京浜国道(国道15号線)はよく通るし、国道駅の存在を知っていたが降りたことがなかったので、すぐに出かけました。「古色蒼然」を絵に描いた昭和初期のたたずまい。ここだけでテーマ性があると、暗さに強い開放値F2のワイドズームレンズを持って通いました。映画、テレビドラマのロケ地もうなずけます。そこで出会った人の会話からも、新しい感動表現ができました。

「Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX」レンズの明るさは、暗い場所でのMF(マニュアルフォーカス)で見やすく、ぼかしたいときには、APSサイズでは苦労するので、開放値F2は表現の上でも助かります。昭和初期のレトロ感再現では、フラッシュは使いたくないし、手持ち撮影によるタイミングも重視となってきます。照明の緑色や、強烈な日差しの条件でも色調と階調が豊かです。ざらついた感じの表情が貴重な被写体なので、超広角レンズでありながら、周辺のシャープな描写には満足です。


JR鶴見線の国道駅は、昭和5年(1930年)開業。7年前に関東大震災があり、復興途上なのでがっちりした構造となっており、当時としては超モダンな駅でしょう。2階に線路が通り、1階は自由通路ですが、昭和の看板やごみ箱も残って、大変暗いガード下のレトロ風情です。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:8000(APS-Cサイズカメラで撮影)


12月29日16時半からの営業に、常連客が待っていて、16時前に店の準備。やきとり「国道下」店主さんに撮影許可を求めましたら「テレビが来ても顔を映さないよ。」「突き当りは床屋さんだった。減っていくね。正月は9日から。」など気持ちよい会話。松の内は休み、も昭和の慣習を思い返します。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:14mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:5000(APS-Cサイズカメラで撮影)



お店や住人が減ってきている雰囲気がありあり。黄色い夕陽が射しこみます。水銀灯が緑色の照明となり、暗い所での「良いお年を」の会話が見えます。開放値F2で、人物をアウトフォーカスに。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:14mm 絞り:F/2 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:1800(APS-Cサイズカメラで撮影)


ハトなどの鳥のフン害対策として、カラスの切り絵が貼ってあります。ホーム階にも同じものがぶら下げられています。無人駅らしく一見放置されて見えますが、人の営みをあちこちで見つけることができます。明るいレンズのおかげで、ピント合わせがらくらく。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:14mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:4500  +1/3補正

(APS-Cサイズカメラで撮影)


家主が不在となったドアには、たくさんの印刷物が挟まれたままでした。白いペンキで塗られたドアには歴史を感じる傷痕が、かつて賑やかだった頃を彷彿とさせます。F8の絞り値でも、被写界深度はたっぷり出ます。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:14mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:5600  +1/3補正

(APS-Cサイズカメラで撮影)


教えてもらった「弾痕」。第2次世界大戦末期、米軍機が空襲、機銃掃射をした弾痕が今も見えます。コンクリートが削られた銃弾の痕は、手で触ることもできる場所にもあり、崩れ対策の網で保護された場所にも。昭和20年(1945年)5月被弾と伺いました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:280  +1/3補正

(APS-Cサイズカメラで撮影)


散歩をしている人が声をかけてくれ、国道駅の近くの「鶴見川干潟」を紹介されました。下流は直立した護岸なので、親水広場として干潟を整備。貝殻を捨てる場所にもなっていて、子供時代の「水切り遊び」「貝割り遊び」を思い出させてくれました。生麦魚河岸通りの店と言い、下町の昭和レトロに浸れる地域です。

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◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:17mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:100(APS-Cサイズカメラで撮影)



光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター

Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX


開放値F2は、暗い場所でピントが合わせやすく、ボケ表現にもってこいです。色調と階調が豊かな上、超広角レンズでありながら、周辺のシャープな描写には定評があります。