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齋藤千歳の感動表現|Aか? Bか? 星景撮影に必須のソフトフィルターKenkoプロソフトンはどちらを選ぶのが正解か?

みなさん、撮ってますか!

真冬に北海道で星を撮るなら、数百円で買える薄手の「のびのび手袋」(商品名ではないみたいです。一般名称なのでしょうか? )を装着したうえに、普通の手袋をして、2枚の手袋の間に小さいサイズの使い捨てカイロを挟むのがおすすめです。

これで、マイナス20度くらいまでは快適だと思います。

昨日も「星を撮りながら今日は風もなくて、マイナス一桁台なので、暖かくて快適ですね」などと挨拶していた齋藤千歳です。

ぼろフォト解決シリーズ&Foton電子写真集」というカメラ・写真関連の電子書籍を北海道・千歳市から出版させていただいております。

前回は「イラジエーションの発生しないデジタルでは星撮影にソフトフィルターKenko MC プロソフトンは必須」というお話をさせていただきました。

第2回の今回は、星景を撮影するためのソフトフィルターとして、どのプロソフトンを選ぶのがよいかを解説していきたいと思っています。

使用フィルター:なし

◎焦点距離:85mm 絞り:F/2.4 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:200 +0.7補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

星や星景を撮影するためのプロソフトンの話ですが、まずは比較のためにフィルターなしで撮影した花の写真をご覧ください。

前回のブログで星の撮影に向いた丸型フィルターの定番として、Kenkoプロソフトンがあり、商品ラインアップとしては、MC プロソフトン(A)NとMC プロソフトン(B)N、さらにKenko PRO1D プロソフトン[A](W)の3種類があるというお話をさせていただいました。

そして、そのソフト効果(にじみ効果)の強度はプロソフトンAよりも、Bが強いことも解説しました。

使用フィルター:Kenko PRO1D プロソフトン[A](W)

◎焦点距離:85mm 絞り:F/2.4 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:200 +0.7補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

星や星景の定番ソフトフィルターKenko PRO1D プロソフトン[A](W)を使って撮影。ソフト(にじみ)の具合を確認してください。

Kenko MC プロソフトン(A)NとKenko PRO1D プロソフトン[A](W)があるプロソフトンAの代表として、Kenko PRO1D プロソフトン[A](W)で撮影した。

Kenkoソフトフィルターの効果の強弱については、『フィルター総合カタログ2017』(http://www.kenko-tokina.co.jp/catalog/filter/)のP.20で確認してもらうのがおすすめです。

ソフトフィルターの効果の強弱を言葉で表現するのは、とても難しいので、掲載した作例を参考にしてください。

使用フィルター:Kenko MC プロソフトン(B)N

◎焦点距離:85mm 絞り:F/2.4 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:200 +0.7補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

プロソフトンのなかではもっとも効果の強いKenko MC プロソフトン(B)N。プロソフトンAとの効果の違いを確認してください。

次に効果の強いソフトンBで撮影しました。

ソフトフィルターのなかでも、フィルター面に同心円状の腐食処理を施して弱いソフト効果を得る「デュート」や画面全体に霧がかかったようにぼかす「フォギー」と異なり、フィルター面上に不規則な凹凸を施すことで、光をにじませる「ソフトン」は、点光源である星をにじませて大きく撮影したい星や星景の撮影では、非常に有効なフィルターです。

有効というよりも、星や星景の撮影には必携のフィルターといえるでしょう。

作例で見ていただいてもわかるように、効果の強いソフトンBと効果の弱いソフトンAを星の撮影でも、単純に効果の強弱で使い分ければよいのでしょうか。

実際に星景写真を撮影してみました。

使用レンズ:SAMYANG AF35mm F2.8 FE

使用フィルター:なし

◎焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:30秒 ISO感度:2500 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

まずはフィルターなしで35mmという一般的な広角レンズを使って撮影。星の大きさに極端な大きさの違いは発生しない。

ソフトフィルターなしで、星景写真を一般的な広角画角である35mmで撮影してみました。

多くの星は写っていますが、大きさの差は小さく、さほど印象的な写真とはいえません。

次にプロソフトンAの効果を検証するためにKenko PRO1D プロソフトン[A](W)を付けて撮影しました。

使用レンズ:SAMYANG AF35mm F2.8 FE

使用フィルター:Kenko PRO1D プロソフトン[A](W)

◎焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:30秒 ISO感度:2500 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

プロソフトンAを使って撮影した結果。光の強い星ほどのソフトフィルターによるにじみが大きくなり、星に大小がつき印象的に仕上がりました。

プロソフトンAを装着して35mmの広角で撮影するとイラジエーションの発生しないデジタルでも、星の光の強さに対応して星がにじみ大小の差として描写され、印象的な写真になりました。

次に、より、ソフト効果に強いプロソフトンBを使うと星はもっと大きく、大小の差がついて描写されるはずだと期待して撮影しました。

使用レンズ:SAMYANG AF35mm F2.8 FE

使用フィルター:Kenko MC プロソフトン(B)N

◎焦点距離:35mm 絞り:F/2.8 シャッタースピード:30秒 ISO感度:2500 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

プロソフトンAよりも、ソフト効果が強いとされるプロソフトンBを使って撮影。プロソフトンAよりも星が大きく撮影されている様子はありません。

「?」。

プロソフトンAよりも、ソフト効果の強いプロソフトンBを使ったので、より星は大きくぼけると考えていました。

しかし、今回撮影した35mmでは星の大きさは変わりません。

私の見間違いの可能性もあるので、実はPhotoshopで画像を重ねて大きさを確認しました。

それでも星の大きさは同じになっていました。

ソフトフィルターの効果は、レンズの焦点距離にも影響を受けるので、一概にはいえません。

しかし、私がよく撮影する超広角から標準程度までの焦点距離のレンズで赤道儀などを使用しない星景撮影ではプロソフトンAでも、プロソフトンBでも描写される星のサイズにほとんど違いが発生しないようです。

意外な結果に驚き、私以外のフィルターの達人のみなさんにも意見を伺ったのですが、実は同じ結果にたどり着いているそうです。

では、プロソフトンAとBは星を撮るなら、どちらを購入するべきなのでしょうか。

中望遠以降での赤道儀の使った星の撮影については、私の検証が十分ではないので、標準よりも広角の赤道儀を使わない星景写真では、私はプロソフトンAをおすすめします。

理由は、星への影響が同じなら、星以外の風景部分がよりシャープに撮影できるソフト効果の弱いプロソフトンAが有利なためです。

そして、広角で撮影することが多いなら、同じプロソフトンAでも薄枠のKenko PRO1D プロソフトン[A](W)がよいでしょう。

掲載した作例はJPEGで撮影したままのものですが、いまやデジタルでの星や星景の撮影はRAWで撮影しておいて、レンズ収差などを補正、後処理でより印象的に仕上げるのが常識といえます。

この際に、薄枠でフィルター枠のケラレの影響などが少ないKenko PRO1D プロソフトン[A](W)のほうが周辺光量補正などのレンズ補正の際にも優位なためです。

星を撮影するためのソフトフィルター、プロソフトンはAか、Bかで悩んだら、標準以下の広角で撮影するなら、AのKenko PRO1D プロソフトン[A](W)を第一候補として考えるのが、現在のところ正解といえるわけです。

空気の澄んだ冬の間にぜひプロソフトンを使って、星景撮影にチャレンジしてみてください。