齋藤千歳の感動表現|広角単焦点Tokina FíRIN 20mm F2 FE MFで星空散歩

みなさん、撮ってますか!

カメラ・写真関連の電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ&Foton電子写真集」を出版している齋藤千歳です。

北海道・千歳市から、さまざまなレンズ・カメラの電子書籍を出版しております。

北国、北海道は、すっかり冬本番です。

夜の時間がどんどん長くなり、朝の7時にやっと夜が明け、16時には日没といった季節になっています。

15時台に夕焼けが撮影できる毎日です。

これだけ太陽の出ている時間が短くなると、太陽の出ていない時間も撮影するしかないわけです。

そんな夜の星空散歩におすすめなのが、明るい広角単焦点レンズです。

なかでも、今回はTokina FíRIN 20mm F2 FE MFで撮影した写真を紹介していきます。

使用レンズ:Tokina FíRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:0.8秒 ISO感度:1600 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

凍るように寒い夜中に月に呼ばれたかのように撮影に出掛けた1枚。トキナーレンズらしいブルーの発色は夜の散歩にも実にしっくりきます。

 

 

 

空気の澄んだ寒い夜の星空散歩に明るい大口径の広角レンズがおすすめなのには、大きくふたつの理由があります。

1.     広角

空だけでなく、地上の風景も入れて撮影する星景写真では、広い範囲を撮影できる広角が、なにかと有利です。

2.     明るい

明るい大口径レンズは同じ条件でも大きなぼけが得られる点に注目されることが多いです。

しかし、夜の星空散歩では、明るい、すなわち短時間に多くの量の光を得られることが重要なポイントになります。

星や月の光があるとはいえ、暗い星空の撮影ではレンズが明るいと速いシャッタースピードが得られ、低ISO感度が選択できるといったメリットがあります。

ざっくりいうと、このふたつのメリットから、夜の星空散歩には明るい大口径レンズがおすすめになります。

 

使用レンズ:Tokina FíRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:25秒 ISO感度:1600 +1 1/3補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

星空を25秒の長時間露光でとらえた1枚。三脚は必須。できるだけ低いISO感度で撮影したいので、開放F値の小さい、明るいレンズが有利だ。

 

 

開放F値が小さくて明るい広角レンズのなかでも、星空散歩の際に私がTokina FíRIN 20mm F2 FE MFを好き好んで連れて歩くのには、さらにいくつかの理由があります。

一般的に明るいといわれるレンズの開放F値は、だいたいF2.8からといった認識ではないでしょうか。

しかし、TokinaFíRIN 20mm F2 FE MFは、それよりも、さらに1段明るいF2.0という開放F値を誇ります。

35mm判フルサイズ用超広角レンズとしては、トップクラスの明るさといえるでしょう。

F値にして0.8、わずか1段になぜこだわるのかというと、カメラのシャッタースピードの問題があります。

一眼レフはもちろん、ミラーレス一眼も含めて、各撮影モードでのもっとも遅いシャッタースピードは、30秒となっているものがほとんどです。

30秒以上のシャッタースピードで撮影するには、撮影モードを「バルブ(B)」にする必要があります。

経験則的なものですが、星景写真の撮影時の露出はF2.8でISO 800〜3200、シャッタースピードが30秒前後となることが多いのです。

画質のことを考えるとできるだけ低ISO感度で撮影したいのですが、30秒を超える長時間の露光になると、先ほど解説したように「バルブ(B)」を使う必要があります。

「バルブ(B)」で撮影するためには、必要な露光時間中シャッターボタンを押しっぱなしする必要があります。

指でシャッターボタンを押して「バルブ(B)」で撮影するとぶれるので、レリーズやリモコンを使って、撮影するのが一般的です。

レリーズやリモコンなしで、カメラの機能の2秒セルフタイマーといった手軽な方法で、手ぶれを防止して撮影できないので、自由度が低下します。

また、星は常に動いているので、30秒でも星は点ではなく、線として描写されはじめています。

シャッタースピードが遅くなるほど、点である星はより長い線として表現されるため、あまり遅くシャッタースピードは選択したくないという理由もあります。

さらに明るい撮影条件ではあまり気にならない1段の差もF2.8、30秒、ISO 1600の条件で、開放F値が2.0なら、シャッタースピードを15秒まで縮めるか、ISO感度を800まで落とすことができ、描写や画質に大きな差が出てくるのです。

そのため開放F値2.0のTokinaFíRIN 20mm F2 FE MFが星空散歩では重宝するのです。

使用レンズ:Tokina FíRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:30秒 ISO感度:800  (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

星空を30秒の長時間露光で撮影。細かく観察すると、星が動いているのがわかる。これがF5.6だと同じ明るさにするのに4分のバルブ撮影が必要になる。

 

 

実は、ただ明るいだけでもダメなのです。

それぞれのレンズの設計思想などにもよるのですが、絞り開放では収差などを意図的に発生させて全体にやわらかな描写を持ち味とするレンズもあります。

ポートレート撮影などでは重宝する描写なのですが、星景写真にはあまり向きません。

Tokina FíRIN 20mm F2 FE MFは、絞り開放から特に中央部分の解像力が高く、風景撮影などにも十分な解像力があることも、私が星空散歩の相棒として持ち歩く大きな理由になっています。

Tokina FíRIN 20mm F2 FE MFの各絞りでの解像力の変化や周辺光量落ちの様子、ぼけの描写などは、

Foton機種別作例集157 実写とチャートでひと目でわかる! 選び方・使い方のレベルが変わる! Tokina FíRIN 20mm F2 FE MF 機種別レンズラボ

SONY α7 II で撮影

監修:小山壯二/著:齋藤千歳/編:太田圭一・齋藤千歳/デザイン:Inori

で詳細に解説していますので、こちらもご覧いただけると幸いです。

 

使用レンズ:Tokina FíRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:30秒 ISO感度:1600 +1 1/3補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

このレンズのいちばんのお気に入りのポイントは、実は色。特に空の青の色彩表現については、ほかのレンズでは得られないものがあります。

 

星空散歩の相棒は、明るい大口径の広角レンズで、絞り開放から解像力が高く、描写性能が高いといったハードルの高い条件をクリアしたレンズとなります。

これら条件をクリアするだけでも、かなり大変なのですが、実は私がTokina FíRIN 20mm F2 FE MFがお気に入りの大きな理由は色彩表現にあります。

レンズが変わると色が変わるの? と思う方も多いと思います。

TokinaFíRIN 20mm F2 FE MFの場合、伝統的なトキナーブルーと呼ばれる青系の独特の表現が得られます。

このブルーの表現がとても魅力的です。

昼間の青空でも、トキナーブルーの魅力的な色彩再現は発揮されるのですが、これは星空撮影でも同じように発揮されます。

このトキナーブルーの表現が星空にしっかりとハマると、ほかのレンズでは表現できない描写が得られるので、ぜひ一度お試しください。

知らない方も多いかもしれませんが、東京都中野にあるケンコー・トキナーショールームでは、2泊3日で540円〜という低価格でトキナーレンズのレンタルサービスを行っています。

詳細は http://www.kenko-tokina.co.jp/service-shop/#section_01で確認できますので、お近くの方は、まずはレンタルでトキナーブルーと、その性能を体験してみてはどうでしょうか。

 

また、私の場合、星空は20mmの超広角を開放F2.0で撮影することが多く、そのため星の回りにパープルフリンジなどと呼ばれる紫色のフチが発生することがあります。

私個人は、ホワイトバランスとの兼ね合いやレンズだけではなく、カメラの画像処理などの影響もあり発生するようので、これも味として、そのままを楽しむことが多いです。

ただし、どうしても気になる方は、画像処理用アプリケーションを使って、色域などで範囲を選択、色相や彩度をコントロールするとさほど気にならないレベルに仕上げることができるのでお試しください。

せっかくなので、今回撮影した写真を画像処理したものも掲載しますので、参考にしてみてください。

 

■撮影後にレタッチした画像