光川十洋の感動表現|明治の海洋遺産・第二海堡、いよいよ公開

東京湾の千葉県富津岬沖に浮かぶ「第二海堡(だいにかいほう)」。国土交通省管轄で一般人の立ち入りが禁止された人口島要塞を、2019年4月以降に、旅行会社が催行して一般の人々が見学できるようになります。ペリー艦隊が来航して以来、東京湾に侵入してくる敵の船を砲撃するために、砲台を作る動きとなりました。明治の新政府になって、ようやく着手。海中を埋め立てる明治最大かつ最難の土木事業となります。工期は1889年(明治22年)から1914年(大正3年)、職工人夫は延べ49万人を超えました。ところが、完成後、1923年(大正12年)の関東大震災で、甚大な被害を受けます。当時の陸軍が放棄し、釣り船などが上陸することもありましたが、2005年には立ち入りが禁止されました。この歴史的文化遺産の公開に先立って、トライアルツアーに参加しました。

近くから撮影できる臨場感を表現するには、ワイドズームレンズが表現幅を広げます。初めて見る明治時代の土木技術、関東大震災の痕跡、現在までの息吹をわかりやすく描写したい気持ちがあります。主題を前面に背景描写、パンフォーカスを利用には、このレンズはおあつらえ向きです。

15cmカノン砲の土台。上部は崩壊して、基礎が残ります。コンクリートにアスファルトで防水していることは、当時としては最先端の技術。地下に弾薬が保管されていたということです。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:22mm 絞り:F/10 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:800 +1/3補正

レンガ造りの倉庫。途中から増築した跡が明快に見えます。いろいろな推測をかき立てます。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:24mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:400 

北側に長く連なる掩蔽壕(えんぺいごう)のレンガは、黒光りがして、高温で焼かれた性質から、吸収性が低く、劣化がしにくく、衝撃にも強いといわれています。レンガの積み方はイギリス式。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:17mm 絞り:F/8 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:640 

高くて見晴らしの良い「防空指揮所」に登る階段。当時としては貴重なコンクリートでできていたので、現在でもきれいに残っています。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:17mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:800

カノン砲が並んでいた砲台の台座。しっかりした作りです。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:17mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:800

関東大震災の仕業がありありと。要塞の内部の調査は現在行われていないとのこと。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:27mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:800

関東大震災の驚異的な揺れによる被害、元の姿が想像できない情景も。レンガとコンクリートで構築されていたことがよくわかります。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:33mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:800

大きな船がひっきりなしに行き交う浦賀水道。船の撮影にも新鮮な場所です。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:35mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:800

神奈川県横須賀市の自然島、猿島の弾薬庫にある設備です。深い井戸のようですが、実は懐中電灯で見上げた場面です。真上の砲台へ弾薬を送っていたと説明を受けました。「専門ガイドツアー」を申し込めば見学ができます。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 17-35 F4 PRO FX

焦点距離:17mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/30秒 ISO感度:25600

さて、第二海堡の要塞内部はこれから調査されて、いつ公開されるでしょうか。

光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター