光川十洋の感動表現|「メリハリ表現」

公園を散歩したり、森林に入ったり、カメラをもってウォ-キングすると、ふだん見過ごしがちな木々の姿や現象に、感動を覚えて、写欲が沸いてきます。カメラを趣味にした人が「見方が変わった」と異口同音に言いますが、まずはアングルです。そしてアプローチです。光のとらえ方、ワイドレンズや望遠レンズの描写、ボケ表現などもスキルが上がるにつれて幅が広がっていきます。これが雨の場合は、面倒と思いながらも、美しい葉の姿に出合うことにつながります。三脚を持たずに気楽な気分でいながら、メリハリのある表現を試みてみませんか。
カメラの初心者の多い写真講習会では、カメラアングルの工夫で、歓声が上がります。「見上げてみましょう。」「低い姿勢で観察してみましょう。」「思い切りその中に顔を入れて見るとどうですか」「興味を持ったものを見つけたら背景を意識して」などをお伝えすることが頻繁です。
今回は、ワイドズームレンズだけで、手持ち撮影をしました。遠近感が出て、主役が浮き上がるメリハリのある表現を試みました。APSサイズでレンズ口径が小さいことと、やや絞ることによって、被写界深度が深くなるメリットを生かして、近くてもピント範囲を広くすることができます。開放値F2という明るさのレンズなので、暗い場所でも気持ちが楽で、必要に応じて背景に丸ボケ(玉ボケ)の表現も楽しみました。

一見高速道路のジャンクションのような交差した場面です。縞暖竹(シマダンチク)といいますがイネ科で、斑入りの縞模様がきれいです。下から見上げたので、プラス補正をしています。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:14mm 絞り:F/11  シャッタースピード:1/60秒 ISO感度200  +1補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

アジサイの葉に雨粒が乗っているところを、真下から見上げると、葉脈の模様と雨粒の輪郭がフォトジェニックです。少し絞るだけで期待する所はピントが合います。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:17mm 絞り:F/4.5  シャッタースピード:1/80秒 ISO感度250   -1.3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

雨の日は雨粒の塊がきれいに見えます。メリハリを期待して、手前から遠くまでピントを合わせます。ここでカメラ測光値通りで撮影すると、白いスイレンが白トビをしますので、マイナス補正が必要です。
 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:14mm 絞り:F/14  シャッタースピード:1/40秒 ISO感度200   -2/3補正 (APS-Cサイズカメラで撮影)

林の中に鮮やかなキノコ。暗い林床なのでISO感度を上げ、思い切り近づいて、ぶれないと思うシャッタースピードで撮影しました。F/5.6ですが、林床状況も予想以上に明快です。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:14mm 絞り:F/5.6  シャッタースピード:1/20秒 ISO感度1,000   -2/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

岩に根を張り巡らせた植物の生命力を感じます。暗い場所で手持ち撮影のために、ぶれないようにカメラをしっかり持ち、息を止めて撮影。背景の石仏の状況がわかるアングルで。

 
◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:14mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度800   -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

雨の小径に飛び出したヌマトラノオの存在感を出すために、目いっぱい近づきました。小径の描写のためにズームを長めに変え、背景もはっきりさせたいので、絞っています。
 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:18mm 絞り:F/10  シャッタースピード:1/60秒 ISO感度640 (APS-Cサイズカメラで撮影)

竹の表面を観察していたら、竹の皮がこれからはがれて行こうという場面です。その切れ目だけに関心があったので、メリハリをつけるため絞り開放値F2にして、背景に丸ボケを作りました。

 ◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX
焦点距離:20mm 絞り:F/2  シャッタースピード:1/250秒 ISO感度400  +1.3補正 (APS-Cサイズカメラで撮影)