馬場 亮太の感動表現|FíRINを楽しむ

東京・中野生まれで中野在住、中野の会社のレンズを使う。

 

長年使ってきたキヤノンからソニーα(Eマウント)にシステムを切り替えて早半年。α9を新しい相棒として迎え入れた6月に届いたFiRIN 20mm F2 MFは、中野に本社を置くケンコー・トキナーがソニーEマウント(フルサイズ対応)の第一弾として発売したマニュアルフォーカス(MF)の超広角レンズ。ここ10数年、AFのレンズしか使ってこなかった私にとってMFのレンズはとても新鮮で、フォーカスリングを回した時の心地よい重さは、写真をはじめるにあたり生まれて初めて買ったCarlZeiss Planner 50mm F1.4 MMを思い出させてくれた。

中野生まれの私と中野の会社のレンズ(さらに付け加えれば中野のFカメラで買ったα9)。新しいカメラと新しいレンズを手にした自分がFiRINでのブログを書くにあたり、まずは自分の原点に近づけるものから撮り始めることにしようと思った。

SONY α9+FiRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/11  シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100 -0.7補正

 

東京の竹芝客船ターミナル。私のルーツがある八丈島をはじめ、伊豆諸島・小笠原諸島など東京の島々に向かう船が旅立つ。子供の時から何度となくここから船で八丈島に行った私にとって思い出の場所であり、旅の出発点。細かいワイヤーまでしっかり描写されている。

 

SONY α9+FiRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/11  シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:64 -0.3補正

 

夏になると大勢の観光客が列をなす広場に立つマスト。20mmという超広角で収めるとその大きさがより際だつ。広角のズームレンズでは半ば諦めていた周辺の描写も恐ろしくシャープに表現してくれる。これが最新の単焦点の実力なんだろう。

SONY α9+FiRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/11  シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:100 -0.3補正

 

マストを地面から縦位置で撮ってみた。水平が取れた時に現れる強烈なパース感が超広角レンズの醍醐味だ。

SONY α9+FiRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/2.0  シャッタースピード:1/4000秒 ISO感度:100 

 

舟偏のタイルが並ぶ客船ターミナル2階の公園。背面モニターを覗きながらのローアングル・絞り開放での撮影も、拡大表示のおかげで苦もなくフォーカスを合わせることができる。

 

SONY α9+FiRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/10  シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:100 -1.0 補正

 

客船ターミナル2階から見える東京湾に浮かぶレインボーブリッジとおがさわら丸。東京湾も昔に比べたらきれいになった気がする。

 

SONY α9+FiRIN 20mm F2 FE MF

◎焦点距離:20mm 絞り:F/11  シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100 -0.3補正

 

東京と小笠原を24時間かけて結ぶ「おがさわら丸」。一度、このカメラとレンズを持って世界自然遺産が広がる小笠原に行ってみたいが、東京に戻ってくるのは5日後。中々ハードルが高い。

 

とかく秒20コマの連射性能や高速なAFばかり強調されがちなα9だが、ファインダーの見えの良さもあり、MFレンズでもピントが抜群に合わせやすい。超広角レンズのFiRIN 20mmなら、絞ってしまえばノーファインダーでスナップ的に使うことも可能。久しぶりのMFレンズ、しかも超広角20mmを使うことに少し戸惑いもあったがα9+FiRIN 20mmの組み合わせ、かなり楽しい。

 

某大御所カメラマンが、以前のインタビューで語っていたことを鮮明に覚えている。「時代の空気を切り取るにはその時代のカメラを使うのが一番良いに決まっている。だから、俺は最新のカメラを使う」と。私もそう思う。最新のレンズと最新のカメラを相棒に、しばらく自分なりに時代の空気を切り取ってみようと思う。