齋藤千歳の感動表現|星景・星撮影の新定番「スターリーナイト」フィルターと光の波長についてはもう一度考えてみました

みなさん、撮ってますか!

齋藤千歳です。

つい、先日2019年の4月19日に、CP+2019で発表されたSTARRY NIGHT(スターリーナイト)フィルターが発売されました。

実は発売に先行してお借りして、「齋藤千歳の感動表現|星景写真の撮影の新たな定番となる「スターリーナイト」と「プロソフトン」のフィルター2枚付けの効果を試す」で、その効果を報告させていただきました。

そして、今回は、スターリーナイトフィルターと光の波長について、もう一度冷静に考えてみようと思っています。

そもそも、人間の目で感知できる光は、可視光線と呼ばれており、電磁波のうちの個人差もありますが、だいたい360〜400nm前後から760〜800nm前後の波長のものです。これよりも波長の短いものは紫外線、逆に長いものを赤外線と呼ばれています。

実は、太陽を含むさまざまな光源は、人間の目では見えない可視光線以外の波長の電磁波も放出しています。


使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:なし

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/2.0 シャッタースピード:13秒 ISO感度:3200 (APS-Cサイズで撮影)

フィルターなしで北海道野付半島にて撮影しています。ナトリウムランプの影響でしょうか。画面の下側が明らかに黄色からオレンジなっています。




発光体や照明が人間の目では見えない波長の電磁波(光)を出していることは、経験的になんとなく分かってもらえるのではないでしょうか。

日焼けを誘発する紫外線はみえないですし、遠赤外線でおいしくなるという遠赤外線もみえたことはありません。

今度は逆にほかのものも人間が見えない波長の光(電磁波)をとらえることはできないでしょうか。

実は、一部の昆虫や鳥類などは、紫外線領域の光(電磁波)が見える(視覚できる)ことがわかっています。

そして、悲しいことにデジタルカメラの撮像素子(センサー)も人間の視覚ではとらえられない波長の光(電磁波)をとらえることができるのです。

ただし、人間の目でとらえることのできない可視光線外の光(電磁波)をとらえて描写すると、人間の目で見た印象と色彩のバランスが異なってしまうので、可視光線以外の光をローパスフィルターなどでカットしています。

ローパスレスといわれるカメラでも、IR(赤外線)カットフィルターなどで可視光線外の光をカットしてます。

ナトリムランプと水銀灯の波長の光をカットするスターリーナイトフィルターを使うまえから、実は私たちはまったく意識することなく、特定の波長の光(電磁波)をフィルターでカットして撮影を行っていたわけです。


使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:「MC プロソフトン(B)N」

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/2.0 シャッタースピード:13秒 ISO感度:3200 (APS-Cサイズで撮影)

デジタル星景撮影の定番フィルターといえるプロソフトンで、イラジエーションに近い効果を得て、星のサイズを変化させています。




スターリーナイトフィルターは、ナトリウムランプと水銀灯の光の影響だけをカットできると解説されています。

なぜ、こんなことができるのでしょうか。

じつは、ナトリウムランプはナトリウム蒸気内でのアーク放電、水銀灯は水銀蒸気内でアーク放電から発生する光を利用した光源です。

この発光の際に、ナトリウムランプは589nm、水銀灯は可視領域の404.7nm、435.8nm、 546.1nm、 577.0nm、 579.1nmにプラスして紫外線領域の253.7nm 、365.0 nmの光(電磁波)という特定の波長の光(電磁波)を放出します。

これに対して、星の光は可視領域はもちろん、可視領域外の光(電磁波)も含むさまざまな波長の光でできています。

この各波長の光のバランスがそれぞれに違うため、星の色が異なって見えるわけです。


使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:「スターリーナイト」

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/2.0 シャッタースピード:13秒 ISO感度:3200 (APS-Cサイズで撮影)

「スターリーナイト」を使うとオレンジの光だけが極端に減りました。これは589nm周辺のナトリウムランプに大きな効果があったのでしょう。




可視光線外も含めて、短い波長から長い波長までさまざまな波長の光(電磁波)を含む、星の光を撮影する星景や星の撮影では、ナトリウムランプや水銀灯のように特定の波長だけをカットしても、星の明るさにはあまり大きな影響を与えません。

海外ではあまりメジャーではないようですが、日本では街灯やガソリンスタンドなどに水銀灯が、実用光源のなかでもっとも発光効率のよいナトリウムランプは街灯やトンネル内の照影として使用されることが多く、星景写真の撮影時に、それらの光が影響して撮影を困難にすることがよくありました。

スターリーナイトフィルターは、作例をみてもわかるように、ナトリウムランプや水銀灯の特定の波長の光をカットして、これらの光害を軽減してくれます。


使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:「スターリーナイト」+「MC プロソフトン(B)N」

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/2.0 シャッタースピード:13秒 ISO感度:4000 (APS-Cサイズで撮影)

「スターリーナイト」+「MC プロソフトン(B)N」での最終仕上げ、今後の星景写真では、この組み合わせが定番化するのではないでしょうか。




スターリーナイトフィルターフィルターで必要のない波長の光をカットして、必要な波長の光をだけを撮像素子に送りこむ効果は掲載した写真でも実感していただけたかと思います。

そして、今後の星景写真はスターリーナイト+プロソフトンの組み合わせが定番化する予感すらします。

また、スターリーナイトは、すでに発売されている「ASTROLPR Filter」と異なり、ガラスの表面のコーティングではなく、ガラスそのものに光を吸収する物質を混ぜて色ガラスによって効果を得ているので、レンズ焦点距離を選ばず、広角レンズから望遠レンズでまで使用できるそうです。

もしそうなら、きっとスターリーナイトの素材でできた表面加工はプロソフトンという製品も作れるのではないでしょうか。

広角レンズでの星景写真の撮影時にフィルター2枚付けは操作性の問題としても、周辺のケラレ問題などを考えても不利なので、ぜひそんな製品が出てくることにも期待したいと思います。

星景写真の新定番となるであろうスターリーナイトフィルターをぜひ早めにためしてみてはどうでしょうか。

齋藤千歳

齋藤千歳

Amazon Kindleを中心に写真・カメラ・レンズ関連の電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ」や「Foton機種別作例集」を手掛ける電子書籍出版社。月刊カメラ誌の編集を経て、海外にてカメラメーカー関連の解説書籍や機能PR用冊子などを制作。帰国後、北海道・千歳市にて電子書籍出版社として独立。2017年は10月までに約200冊の電子書籍を出版し、70本のレンズを試写した。カメラ・写真関連の多くの情報を発信している。Facebookページはhttps://www.facebook.com/Foton.uncool/

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星景・星撮影の新定番「スターリーナイト」フィルターと
光の波長についてはもう一度考えてみました