齋藤千歳の感動表現|アラフォー男子の女子力をアップするマクロレンズLENSBABY Velvet 85
みなさん、撮ってますか!
「ぼろフォト解決シリーズ&Foton電子写真集」というカメラ・写真関連の電子書籍を出版している齋藤千歳です。
年末年始も電子書籍の制作・出版に追われ、さまざまな被写体をいろいろなレンズで撮影させていただきました。
そんななか電子書籍でも、取り上げさせていただいた1本がLENSBABY Velvet 85です。
LENSBABYシリーズの最新作で、独特のソフト効果が得られることが特徴のマニュアルフォーカスレンズです。
35mm判85mmの焦点距離、開放F値1.8と明るい中望遠で、クラシックで情緒的なポートレートが撮影できるため人気となっています。
また、LENSBABY Velvet 85は、最大撮影倍率0.5倍の本格的なマクロレンズであることもチェックしておきたいポイントです。
対応するマウントはニコンF、キヤノンEF……といった細かな仕様は、こちらをご覧ください。
独特のソフト効果は、意図的に発生させたサイデル5収差のうちの球面収差と像面湾曲によるにじむような描写効果を利用したもので、ピントの芯がありながら……といった技術的に詳細な情報は、
『Foton機種別作例集159 実写とチャートでひと目でわかる! 選び方・使い方のレベルが変わる! LENSBABY Velvet 85 機種別レンズラボ』
SONY α7 II で撮影
監修:小山壯二/著:齋藤千歳/編:太田圭一・齋藤千歳/デザイン:Inori
に電子書籍として、解像力やぼけの形、周辺光量落ちの実写チャートを含め、まとめさせていただきましたので、ぜひご覧ください。
使用レンズ:LENSBABY Velvet 85
◎焦点距離:85mm相当 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100 +1 1/3補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
私は撮影距離やバラの花びらの大きさなどにもよるが、LENSBABY Velvet 85を使ってF1.8からF2.8ぐらいまでの絞りでバラを撮るのが非常に好きです。
LENSBABY Velvet 85については、電子書籍などでも詳細に検証しました。
それらの検証の結果、私がLENSBABY Velvet 85をおすすめするポイントは「女子力の高さ」です。
日々せり出してくるお腹、増える白髪に悩む40歳過ぎのおっさんが、なにをいっているのか? と思われるでしょう。
だが、あえて、再度いいます。
LENSBABY Velvet 85をおすすめするポイントは「女子力の高さ」です。
誤解のないように説明すると、なにもいまさら女子力を上げて、男性受けしようとか、ふわふわガーリーな写真で女性受けをねらおうというわけではありません(ゼロでもありません)。
おそらく私、いや私たち、アラフォー男子の心のなかにも、ジェーン・スーさん(←大好きです)のいう「私のなかの小さな女の子」が住んでいます。
「私のなかの小さな女の子」は、いつもガーリーで、女子力の高い心の栄養をほしがっているのです。
各自、好みは違うでしょうが、北海道・札幌ススキノではいまや常識といわれる〆パフェや、妻が喜ぶからという理由で購入する花束、娘へのプレゼント用という名目のかわいらしいスイーツなど、日常の生活のなかで上手に「私のなかの小さな女の子」に栄養を与えられている大人男子は問題ないのでしょう。
使用レンズ:LENSBABY Velvet 85
◎焦点距離:85mm相当 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/100秒 ISO感度:100 +1補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
レインボーカーネーションのアップ。中央部の球面収差によるにじみが美しい。鮮やかな色彩もよい感じに仕上がった。
しかし、私のように不器用で日常生活のなかで、上手に「私のなかの小さな女の子」に栄養を与えられないアラフォー男子もいると思います。
そしてアラフォー男子には、世の中に対して40歳前後のおじさんとして、演じなくてはならない役割もあるはずです。
私を含め、「私のなかの小さな女の子」に上手に女子力の高い栄養を与えられないアラフォー男子におすすめなのが「女子力の高いLENSBABY Velvet 85」なのです。
いや、アラフォー男子だけでなく、最近「女子力という名の心の栄養」が足りていない、すべての方におすすめのレンズといえます。
日常生活のなかで要領よく女子力を得ることができない、ちょっと不器用な我々に心の栄養を供給してくれるのがLENSBABY Velvet 85といえるのです。
その細やかな心遣いは、外観にも表れています。
使用レンズ:LENSBABY Velvet 85
◎焦点距離:85mm相当 絞り:左・F/1.8 右・F/16 ISO感度:100 +1 2/3補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
絞り開放のF1.8で撮影した左の写真に対して、F16で撮影した右の写真。絞りを開くと球面収差によるソフト効果が写真に女子力をプラスしてくれる。
撮影協力:Angera Est
LENSBABY Velvet 85の女子力の高い描写は、すでに花やパフェといった作例で確認いただいていると思います。
しかし、LENSBABY Velvet 85の外観は、どちらかというと、いかつく重厚感のある金属製レンズになっています。
球面収差と像面湾曲からの発生する女子力の高い描写がセールスポイントとは思えない正統派のデザインなのです。
このデザインの効果によって公園で花を撮影しようが、レストランなどでおしゃれな料理を撮影しようとも、誰もおじさんが「女子力の高い心の栄養」を撮ろう? としているとは思わないでしょう。
「ああ、いるよな〜、写真好きのおじさん」という感じで、街の景色のなかに溶け込むことができるわけです。
そうして、密かに女子力の高い写真を撮影、背面モニターで再生して、女子力の高さを再確認したり、パソコンモニターで画像をセレクトしたり、しながら、「女子力の高い心の栄養」を密かに摂取できます。
そのうちの数枚は、SNSやブログなどで公開するのもいいでしょう。
「サイデルの5収差のうちの球面収差による美しいにじみと、周辺部分の像面湾曲によるにじみの複合が……」などといったコメントを付けておけば、
「このふわっとしたバラの花びらの描写がキュートだよな〜」などと、撮影画像を見つめながら、キュンキュンしていることに気付かれる心配はないはずです。
使用レンズ:LENSBABY Velvet 85
◎焦点距離:85mm相当 絞り:左・F/1.8 左・F/16 ISO感度:100 +1補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
ポークジンジャー丼にLENSBABY Velvet 85で魔法をかけてみました。当然、にじみによるソフト描写は得られますが、被写体のチョイスも重要です。
撮影協力:Angera Est
絞り開放付近では、どんな被写体にも、そのソフトな描写で女子力を付加してくれるLENSBABY Velvet 85ですが、被写体自体が女子力のあるもののほうが撮影しやすいと思います。
また、絞ると球面収差が収まるので、中央部分はシャープに描写するようになります。
ただし、絞っても周辺部分は像面湾曲の影響で解像力は向上しません。
独特の描写を生かして撮影するのはおすすめですが、単純にシャープに撮影したいなら、LENSBABY Velvet 85で絞るより、普通のレンズを使うことをおすすめします。
効果が強力なので、使いどころは選びますが、ポートレートだけではなくソフト効果を付加できるマクロレンズとしても、LENSBABY Velvet 85は非常におもしろいレンズなのです。
人に見せるということを考えてもおもしろいレンズですが、女子力不足のアラフォー男子としては、撮影時にも、撮影画像を見返すときにも、高い女子力を心にチャージできる「女子力の高さ」がおすすめのポイントです。
ぜひ、一度お試しください。
使用レンズ:LENSBABY Velvet 85
◎焦点距離:85mm相当 絞り:F/1.8 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:100 +2補正 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
語源的には「植物標本」を意味するバーバリウム。ビンの質感、光を透過する液体、ドライフラワーの発色がレンズの描写とよく合う。