光川十洋の感動表現|火星の大光跡

火星が、15年ぶりに地球に大接近する日が、2018年7月31日。楽しみにしていた一人ですが、星を撮る場合、都会を離れ、月の明るさを避け、という常識を知っていても、星の動きを表現できるいい時代を味わってきています。そこへ、まことに明るい火星が登場するので、光害のあるような所で、にぎやかな場面を表現しようと準備しておりました。

横浜の日没時間は、18時47分。19時前から火星が南東の空から登ってくるのですが、写真を撮るには空がまだ明るすぎます。真っ黒の空を期待すると、20時になってしまい、地上付近の火星が写りません。早めからインターバル撮影をし、後日自分が青味のある夜空をセレクトしたら、19時38分のシーン。セレクトのスタートにしました。比較明合成ソフト「StarStaX」を利用しました。

広大な夜空と、横浜港の雰囲気を描写しようとすると、超広角レンズが最適です。11mm~20mm(APSサイズ)のレンズは、11mmで画角が104度と広くとらえることができます。魚眼レンズとは異なって、ディストーションがよく補正されていて、直線がカーブを描きません。色ずれもなく、星の光跡がきれいです。


​​​​​​​火星と土星はすぐわかる明るさです。フォーカスはMF(マニュアルフォーカス)、Mモードでシャッタースピードを13秒、絞り値をF8、連写設定にし、レリーズをロックしてインターバル撮影をします。これは85分間の画像です。



◎使用レンズ:Tokina AT-X 11-20 F2.8 PRO DX

焦点距離:11mm 絞り:F/8 シャッタースピード:13秒 ISO感度:400 85分間を比較明合成 (APS-Cサイズカメラで撮影)


さらに続けると、21時頃から昇り始めた月が光跡を広げ、海上を輝かせます。高層ビル街から水蒸気のような煙のような「霧」が、海上を這うように流れました。計123分間の画像です。


火星の大光跡がある画像を細かく見てみましょう。なんと賑やかな光の競演です。都会でも、月が出ても、星の描写ができるのです。フィルム時代では、見たことのない感動表現ですね。

ベイブリッジ、ランドマーク、コスモクロック21、街灯、照明灯のゴースト、水路を航行する船の光跡、航空機、ヘリコプター、水面の漂流物の流れ、火星の太い光跡から繊細な星の数々……。飛行機は、羽田空港から飛び立ち、高度3000mで着陸灯を消すので、横浜港上空で西に向かう直線コースの精度に驚かされます。遅い時間は飛ばなくなります。


◎使用レンズ:Tokina AT-X 11-20 F2.8 PRO DX

焦点距離:11mm 絞り:F/8 シャッタースピード:13秒 ISO感度:400  123分間を比較明合成 (APS-Cサイズカメラで撮影)


その次は、20mmを利用すると、72度の画角。移動することなく、同じ場所で速やかに別のシーンが狙えます。横浜みなとみらい21地区の照明が空を照らしていますが、星はきちんと描写できます。火星はひときわ太い光跡を南の空に弧を描いています。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 11-20 F2.8 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:8秒 ISO感度:400  42分間を比較明合成 (APS-Cサイズカメラで撮影)



光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター

AT-X 11-20 PRO DX


広大な夜空を描写しようとすると、超広角レンズが最適です。11mm~20mmのレンズは、11mmで画角が104度と広くとらえることができます。魚眼レンズとは異なって、ディストーションがよく補正されていて、直線がカーブを描きません。色ずれもなく、星の光跡がきれいです。