光川十洋の感動表現|「ゲンジボタルの光跡表現」

ホタルが飛んでいる場面に出合うと、大人も子供も思わず歓声が上がります。ほのかな淡い光なので、写真に撮ろうとすると難しい問題があります。フィルムでは、超高感度のフィルムがないために難しい被写体です。デジタル時代になって、自分でカメラの感度を上げて撮ることができるようになって、難しさが減ってきました。ただし、感度を上げるほど、デジタルノイズが出てくるので、ここでも「困った」が出てきます。フィルムでは、撮影場所の暗さにもよりますが、2分や5分は当たり前、シャッターを開けていれば、ホタルの光跡がたくさんフィルムに写ります。しかし、現在のデジタルカメラでは、長秒時にはデジタルノイズが出るために、ほとんどのカメラでは1分以内で撮る必要があります。短い秒数になるほど、ホタルの光跡は少なくなります。では、これらのデジタルノイズ対策をどう乗り越えていきましょうか?

答えは、明るいレンズで撮影し、「比較明合成」を活用することです。撮影時には、短い秒数でたくさん撮影をします。あとから画像ソフトで重ね合わせる方法です。撮影時有利なのは、明るいレンズなら、ISO感度を小さくできて、ノイズ発生を抑えます。「比較明合成」には、フリーソフト(無料アプリ)がありますので、WEBからダウンロードします。「KikuchiMagick」「SiriusComp」「StarStaX」などがあります。

ワイドズームの中で明るいレンズでおすすめなのが、「Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX」です。開放値F2は、ISO感度を低くして撮影できます。「被写界深度が浅くなるのでは?」という疑問があるかと思いますが、その逆で、ホタルの光跡にはピントが合わない方が幅広い描写になり、光の太さに表情が出て、感動表現になります。

ホタル撮影には大切なマナーがあります。ホタルは光を嫌いますので、フラッシュ禁止、ライトを極力使わない、モニタを光らせないように設定することです。


空が暗くなって20秒で撮影した1枚の写真では暗い画面となり、わずかにホタルの光跡が確認できる程度です。これだけでは何が写っているかわかりません。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/2.2 シャッタースピード:20秒 ISO感度:800(APS-Cサイズカメラで撮影)



わずかに明るい時間帯に、暗めの背景となる写真を撮影しておきます。これに、上記で撮影したホタルの光跡を「比較明合成」ソフトで重ね合わせました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/2.2  シャッタースピード:20秒 ISO感度:800 (APS-Cサイズカメラで撮影)

25点を比較明合成


渓流脇の林の中にホタルが少し見えます。30秒で撮った1枚にこんな魅力的な光跡が偶然とらえることができました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/2 シャッタースピード:30秒 ISO感度:3200(APS-Cサイズカメラで撮影)


ホタルの飛び方を観察すると、木の向こうばかりなのですが、時々手前に来ることもありますので、長い時間たくさんの写真を撮り、「比較明合成」で重ねてみると、ホタルの飛ぶ状態を知ることができます。


◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/2 シャッタースピード:30秒 ISO感度:3200(APS-Cサイズカメラで撮影)

55点を比較明合成

光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター

Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX


淡い光を放つホタルの撮影には、ワイドズームの明るいレンズが有利です。絞り開放で撮影すれば、ISO感度を低くでき、ホタルの光跡を感動表現できます。