光川十洋の感動表現|航空機の光跡

ブルーモーメントが終わった夜の空は、静かなたたずまいとなります。都会ではビル群、遊園地ではにぎやかな夜景の撮影はできますが、飛行機の光跡を描写しようとすると、下調べが大切です。加えてデジタル時代の恩恵を受けることで、新鮮な作品を創作することができます。飛行機の光跡のほかに、星の動きも入れてみたい、月も存在感のある被写体なので画面内に入れたい、細かな雲が風に流れたらさらにいいな……、と考え、飛行機のコースを調べ、さて撮影場所は?遅い時間は便数が少ないし、空港近くでは変化が少ないし、船は動くので三脚はダメだし……。


感度を上げて撮影できる時代でありながら、長時間露光ではノイズが出るので、デジタル時代の新技法「比較明合成」を活用することにしました。WEBから無料ソフトがダウンロードできます。例えば、StarStaX KikuchiMagick SiriusCompなどです。分けて撮影し、ソフトで重ねる発想で、「困ったな、を解決。 創作意欲が湧く!」方法です。

飛行機や雲がどう飛ぶか予測が難しい時でも、空を広く撮影するには魚眼レンズが最適です。魚眼レンズでありながら、ズームができるので、撮影地での構図決定の時にはとても重宝です。


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東京都大田区城南島海浜公園は、羽田空港に近い海に面した公園です。航空機の発着を近くで見られる人気のスポットです。飛行機の光跡を撮る場合、風向次第では頭の上を飛んでいきます。着陸の場合は、同じコースを降りてくる精度に感心しますが、離陸の場合は、行先によりカーブに変化が現れます。1枚のショットでは、離陸の場合こんな感じです。


◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:12mm 絞り:F/8 シャッタースピード:30秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズカメラで撮影)



三脚を据えて、インターバル撮影をし、同じようなデータを重ねるためには、多重露出をしないで「比較明合成」をしたものです。魚眼レンズの視野が広いので、予測できない光跡を見事に1画面に収めることができます。


◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:12mm 絞り:F/8  シャッタースピード:30秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズカメラで撮影)で撮影したものを、92点比較明合成。



千葉県木更津市の江川海岸から羽田空港を望むと、遠方のため光跡は同じコースで重なってしまいます。よって、画面左の光跡のように、自衛隊のヘリコプターの飛行訓練時間に魚眼レンズで構図を決めると、にぎやかな画面を構成することができます。星を撮影する人は、月の明かりを嫌いますが、比較明合成を使うと星の描写もきれいに表現できます。


◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:10mm 絞り:F/7.1 シャッタースピード:30秒 ISO感度:200 (APS-Cサイズカメラで撮影)で撮影したものを、98点比較明合成。



羽田空港から離陸し、西日本方面に行く飛行機は、固定されてはいませんが三浦半島上空を数多く通過します。夕景の撮影ポイントで有名な秋谷海岸は、暗くなると人影が途絶えます。航空機の光跡を撮影するチャンスです。街灯や車のヘッドライトの影響で長時間露光をすると立石の岩が白トビを起こしますので、比較明合成をします。


◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:10mm 絞り:F/6.3 シャッタースピード:20秒 ISO感度:400 (APS-Cサイズカメラで撮影)で撮影したものを、133点比較明合成。

光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター

Tokina AT-X 107 DX Fisheye


ズーム機能のある魚眼レンズなので、構図決定に便利です。空を広く入れるときに、周辺光量不足が心配ですが、撮影してみてまったく気になりません。さらに、輝度の高い曲線描写に色ずれが感じられないことも魅力です。