光川十洋の感動表現|「魚眼は○が好き」

魚眼レンズの魅力は、狭い場所で多くの情報を盛り込みたいとき、広い会場全体を1枚の画像で収めたいとき、超広角レンズではとらえきれない画像をみごとに描写してくれます。そして強烈な遠近感は、人の目にはない主題強調にアピール感を表現できます。また、直線が曲線に描かれるディストーションという歪み方が面白い味を醸し出します。

今回は、歪みを感じさせないで、広く撮影したり、遠近感を出したり、1枚で状況がわかるアングルを工夫したり、……被写体を選定する楽しみもありますので、いくつかの作例をご披露します。

「魚眼は○が好き」の「〇」にはどんな文字を入れましょうか。そのまま読みの「円」「球」をお勧めします。もともと円形のある被写体は歪みが目立ちにくいものです。町の中を歩いてもたくさん見つかります。この魚眼レンズは軽くて小さいので、常にカメラバッグの中に忍ばせておき、出合う被写体にチャレンジすると、大きな効果を表現することができます。10mmを利用すると、対角線で180度の画角が得られます。またズームなので、超広角レンズとしての描写も魅力です。「魚眼レンズではまれなズームレンズ」という特長を活かすことによって、被写体の形を自分が望んだようにもっていくことが容易です。

 

 

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東京湾アクアラインの「海ほたる」の1階にある直径14メートルを超えるモニュメント。海底トンネルの掘削時に使われた超合金のツメが一部に使われています。いつでも撮影できる被写体の場合は、人のいないタイミング、美しい照明効果の時間を狙い、魚眼ズームの特長を活かして、撮影位置と焦点距離のバリエーションをたくさん撮りました。ここでは、変形することがなく、円形の遠近感が描写できたひとコマを採用。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:13mm 絞り:F/8 シャッタースピード:20秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

日本には数えるくらいにしかない「円形歩道橋」ですが、横浜みなとみらい地区にあることが意外と知られていません。横浜ワールドポーターズに近い交差点に「新港サークルウォーク」があります。写真のように通行路を描写できるのは魚眼レンズだけです。水銀灯と白熱灯の色調が交差して、影にも変化が出ました。また、このレンズの絞り羽根が6枚の効果で、強烈な光芒の描写が得られました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:10mm 絞り:F/20 シャッタースピード:20秒 ISO感度:220 -1補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

川崎市東高根森林公園は、昭和46年に公園建設を決定しただけのことがあって、人が憩う場所の中心には立派な灰皿が設置されました。今となっては「歴史的建造物」となってもの珍しい代物ですが、魚眼レンズの構図の典型例は、この場面です。真下の詳細と前方の状況を同時に撮影できる構図です。モデルさんに依頼をして、太陽光にたばこの煙を浮き上がらせて演出いたしました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:10mm 絞り:F/11 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:400-1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

白馬五竜にあるホテルステラベラには、ここでしか味わえない「みそ樽露天風呂」があります。70年余り味噌樽として使われてきた直径220センチメートルの大樽にかなり手を加えて、昔の民家の雰囲気の中でお客様に公開しています。部屋の雰囲気を取り込み、円形を保ちながら浴槽の中まで描写することができました。短焦点レンズの場合は、手持ち撮影でもスローシャッターで撮影できます。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:10mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/25秒 ISO感度:400(APS-C

サイズカメラで撮影)

 

 

 

東京都墨田区にある「両国花火資料館」は歴史のある両国花火の展示館です。ここに三尺玉の実物も展示されていて、迫力のある存在感です。高さ600m、開花600m、重さ200Kgと表示されています。魚眼レンズ絞り開放F3.5でも、必要なところのピントはシャープで、背景は程よく軽いボケで表現してくれました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5

焦点距離:10mm 絞り:F/3.5 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:800(APS-C

サイズカメラで撮影)

 

光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター

Tokina AT-X 107 DX Fisheye


広角レンズほど、目でフォーカスを合わすのが厳しくなりますが、この魚眼ズームレンズのAF(オートフォーカス)は快適です。魚眼レンズのほか、超広角レンズと2本分がうれしい。

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