光川十洋の感動表現|イチョウ葉の表現

ベストセラーになった『葉っぱのフレディ』を懐かしいと思う人は多いことでしょう。1枚の葉っぱが、人と同じ気持ちでその人生を考える中で、いろいろな場面で生きているように描かれました。また、子供の時に「イチョウは小さい鳥の形」を覚えました。与謝野晶子作の短歌「金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の丘に」は、だれでも知っていることでしょう。

イチョウの種類はなんと1種類。大昔に絶滅しそうになって、中国でかろうじて生き延びたと言われている絶滅危惧種なのです。世界でも限られた大陸にしかなく、山中には自生することが少なく、植樹されてきました。調べてみると、街路樹にイチョウが最も多く使われており、神社仏閣では当たり前のように見ることができるので、貴重さに疎くなります。私たちは「生きている針葉樹の化石」を見ているのです。

私はイチョウの1枚の葉を見るたびに、とても個性的な姿を感じます。黄金色の大きなイチョウの大木の壮大さや、葉の散ったじゅうたんのような情景も大好きですが、1枚の葉にはドラマを感じます。そこで明るいワイドズームレンズで、公園や神社などで、それらの表情を味わってきました。

 

 

 

太い幹から個性的な顔が出ています。「まだまだ」と、近づく冬に対して抵抗しているように見えます。マニュアルフォーカス(MF)でのピント合わせは、開放値がF2と明るいおかげで速やかで容易です。手持ちで被写界深度が深くなるように絞り込みましたので、木の上のほうの葉の姿もとらえることができます。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/20 シャッタースピード:1/40秒 ISO感度:1250  +2/3補正 (APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

 

天然の防虫剤として、イチョウは利用されています。そういえばイチョウの葉が虫食いにあった姿は見た記憶がありませんでした。ところがなんと、まだ緑色の壮年時代で、いろいろな闘いをしている姿に出合いました。アップにして葉の詳細を見せることと、周りの状況をはっきり描写したいこととで、速いシャッタースピードと深いピントをISOオートで見事に描写。ワイドレンズ特有の遠近感と広い背景がよく表現されました。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:17mm 絞り:F/18 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:2800 -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

 

いよいよ葉が一人旅に出ます。上から突然舞い落ちる葉を撮ろうとすると大変難しい。葉を持った手から放たれた直後では画面の上のほうになりますので、中間部で速く落下しても止めるシャッタースピードで、演出をたくさんしたなかの1枚です。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/11 シャッタースピード:1/1600秒 ISO感度:3200(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

 

昭和記念公園の「かたらいのイチョウ並木」は、黄金の道と言われるように木々にはびっしり葉が輝き、長いじゅうたんの上には多くの人が鑑賞をしています。ところがすべての葉が落ちた冬の早い時間帯は誰もいません。またとない情景を独り占め。ローアングルのときにライブビューではモニタが見にくいのでAF(オートフォーカス)を利用しましたが、見事な描写ができました。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:14mm 絞り:F/16 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:1100(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

 

クモの糸の強さには驚かされることが多いのですが、2種類の葉がダンスをするように右回転、スローの左回転をして楽しそうでした。開放F値2を利用して、うるさく描写される背景をぼかすことによって、舞台背景のような上品な仕上がりができます。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/2 シャッタースピード:1/320秒 ISO感度:100(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

地面だけではなく、神社の手水鉢に葉が佇んで感動を与えたり、小川、水路に葉が旅を始めたりします。『葉っぱのフレディ』の描写にあるように、悲しい死ではなく、役割のある一つの表情、鑑賞者の歓びにつながります。地面の葉たちの命も引き継がれていきますので、「The End」ではなく、ラストにある「The Beginning」にもうなづけます。水面の揺らぎ表現を期待して、手持ちでスローシャッターを使いました。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX

焦点距離:20mm 絞り:F/16 シャッタースピード:1/15秒 ISO感度:800(APS-Cサイズカメラで撮影)

光川十洋(みつかわとうよう)

光川十洋(みつかわとうよう)

日本大学芸術学部写真学科卒。学研で創作分野歴任。現在クラブツーリズム、カルチャーセンター、写真団体の写真講師。日本写真講師協会(JPIO)認定フォトインストラクター

Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX


ワイドレンズで背景をぼかしたい場合は、開放F値2は効果的です。(MF)マニュアルフォーカスのトルク感も安定して気持ち良く、アングルが苦しい時のAF(オートフォーカス)も思うとおりに。

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