光川十洋の感動表現|「氷河を味わう」

ヨーロッパ最大の氷河が、アイスランドにあります。その一部先端の氷河を歩きました。山を歩いた経験から今回の事前準備が大げさだな、と感じたのですが、これを大反省。映像などで遠方から氷河を見たときは平坦な印象でしたが、水平な広場は皆無。カチンカチンの氷の上の表面は坂です。一般の乗用車ならすぐ横滑りするアイスバーン。それだから、10本爪のアイゼンで、足が滑らないように。ピッケルを持って、万が一滑ったときはそれで止まること。安全ベルトを付けてというよりはいて、万が一氷の割れ目に落ちたときはロープで救い上げる、といった装備です。足を上げて、ゆっくりと、水平に着地するといった、歩き方のコツまで教わりながら、腰を下ろした人がバランスを崩し、ウインドブレーカーを背にして氷の上をすべるアクシデントを見ました。また、氷河湖では水陸両用車で移動して、浮いている氷山を近くで撮影もしました。

 

最新の注意を払う場面、カメラでスナップするには、小さくて軽い常用広角スナップズーム1本で十分です。35mm換算で18-42mm相当と、ズーム比が大きいので、広大な氷河や、狭い船の上などにも対応できます。シャッタースピードと絞り値を意識して、手軽な撮影ができる便利な画角のレンズを味わうことができました。とくにAPSサイズ使用時は、被写界深度が深めとなるので、AF(オートフォーカス)を利用する場合でも、気持ちの上で安心です。

 

 

 

厚い氷がうねっているところを歩きますが、所どころに深い穴や割れ目がありますので、注意深く被写体を見定めます。長い年月を経た氷は固く、シアン色が透明感を見せてくれます。ピッケルで削っても頑丈です。以前に噴火した火山灰が表面に残っていました。

 

◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:12mm 絞り:F/ 11 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:140 -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

火山島なので、大地は溶岩で覆われています。その上に氷河が覆い被さっているのですが、昼間解けた水や降雨があるときに流れた水は、溶岩台地に吸収されていきます。水が吸い込まれた火山灰の跡が大自然の中で小さな表情を見せてくれます。これらの水は、伏流水となって、海岸近くから湧き出して幅広い川を作ることになります。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:13mm 絞り:F/4.5 シャッタースピード:1/60秒 ISO感度:200 -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

大氷河のなかに自らが立つと写真でその広さを表現したくなります。12mmという超ワイドで1枚撮影し、さらに重なるように撮影したものを、後日画像ソフトでパノラマ仕立てにしました。丘の間から押し出てくる氷河のダイナミックな感動風景を再現できました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:12mm 絞り:F/11 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100 -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

氷河湖は海岸の近くにありました。広い淡水湖となっていて、氷塊がたくさん浮いています。氷の色といい、模様といい、形といい、船が近づくたびに同乗した人から歓声が上がります。船長が「アザラシ」と教えてくれたのですが、遠方で見え隠れしていました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:28mm 絞り:F/9 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:200 -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)

 

 

 

安全のため後方からモーターボートがついてきているのですが、氷を拾って、ピックで細かく割ってくれました。ご同乗したご夫妻に了解をとり撮影しました。私も食べたのですが空気の音がするかな?と思いましたがギユッとした感じの固い氷でした。以前南極の氷でオンザロックを味わったときピチピチと音がしましたが、空気が入っているからで、氷河では空気が入らないという説明でした。五感で氷河を味わうことができました。

◎使用レンズ:Tokina AT-X 12-28 F4 PRO DX

焦点距離:17mm 絞り:F/5.6 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:200 -1/3補正(APS-Cサイズカメラで撮影)