國政寛の感動表現|たのしくマスター! マクロ撮影術!(6)ピント位置を吟味しよう!
『密かな想い』
~陰からそっと
君を想って~
ピントはどこに?
いざ花を撮ろうとしても、どこにピントを合わせたらいいのかよくわからない、という声をよく聞きます。
一般的に言われているのが、花の花芯に合わせましょう、ということ。
これはある意味正解ですが、絶対に花芯に合わせないといけないわけではありません。
どこにピントを合わせるかは、「何を」「どう撮りたいか」によって決まります。
つまり、見せたいと思う場所にピントを合わせればいいのです。
ピントは心の場所に
コスモスの花びらが描くカーブが面白かったので、花びらのふちにピントを合わせました。
もし花芯にピントを合わせていたら、このカーブに心惹かれたという意図はまったく伝わらなかったでしょう。
前ボケの間からちょっと覗いた紫陽花のガクの一部分だけにピントを合わせました。
花芯どころか、花すら写っていません。
でも、見せたいのはガクの部分なので、これでOKです。
チューリップの葉っぱの形が面白かったので、その部分だけを切り取りました。
こちらも花がまったく写っていませんし、言われなければチューリップとはわからないかもしれませんね。
このように、ピントは花芯である必要はまったくありません。
それどころか、何の花かわからなくても、花が写ってなくても大丈夫なんです。
ピントは心惹かれた場所、つまり心の位置に合わせましょう。
ピント位置によって見せたい印象を強める
一輪のガーベラをアップで。
花に付いた水滴に光が反射して輝いています。
でも、ピントが花のシベ部分にあるので、主役としての印象は「花」の方が強くなっています。
水滴が反射するキラキラを主役にしたいと思い、あえてピントを花芯からずらしました。
こうすることで「花」そのものの印象が薄れ、反射の円ボケのインパクトが強まりました。
ユリの花を真横から捉え、花芯にピントを。
手前の花びらが前ボケになって雄しべの部分を隠し、雄しべの先にある葯の部分を浮き上がらせました。
花全体は写っていませんが、なんとなくユリらしさは感じられると思います。
こんどは手前の花びら部分にピントを。
ユリらしさはまったくなくなって、花びらのカーブの印象だけが残ります。
このように、花芯にピントを合わせると、花の印象を強く見せることができます。
逆に花芯からピントをずらすと、ピントを合わせた部分の印象が深まります。
ピントをいろいろ変えてみよう!
ユリの花を真正面から捉えました。
ピントは前に突き出た雄しべの葯に合わせています。
マクロで最短撮影距離付近まで寄っているので、ピントを合わせた葯以外が大きくボケて、葯の印象だけが残りますね。
ちょっとピントをずらして、雄しべのラインにピントを合わせました。
先程の写真と同じ位置から撮っていますが、まったく印象が変わりますね。
さらに今度は、シベの根元の部分にピントを合わせました。
花というよりも、なんだか不思議な生物のようにも見えてきます。
おわりに
このように、ピントをどこに合わせるかによって、伝わる印象が大きく変わります。
何を見せたいのかをしっかり考え、ピント位置をよく吟味して撮影しましょう!
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