齋藤千歳の感動表現|絞り開放付近から解像力の高いSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは好きな絞り撮れる1本

みなさん、撮ってますか! 齋藤千歳です。

SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS機種別レンズラボ』や本ブログなどでもお話ししていますが、SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは開放がF1.2と非常に明るい大口径レンズでありながら、絞り開放からほぼ全開性能といえる高い解像力を発揮する名レンズだと私は思っています。

このところテストしたレンズのなかでも、久しぶりのお気に入りといえる1本なわけです。

そこで今回は名玉について少し考えてみました。


使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/2.8 シャッタースピード:1/3,200秒 ISO感度:100 露出補正:−1/3段(APS-Cサイズのカメラで撮影)

湖面の毛嵐が立ち上る日の出の風景をF2.8で撮影、背景の送電塔を結ぶ電線の一部が解像しているところをご覧いただけるでしょうか。


昔からいわれる名玉、名レンズの条件というと、絞り開放付近ではピントの芯はありながら、とろけるようなぼけが得られて、絞ると画面全体をシャープに描写してくれる絞り値による二面性があるようなレンズというイメージが私にはあります。

しかし、実際にそのように評価される名玉や名レンズで解像力チャートなどを撮影すると、絞り開放時に収差が発生して単純に解像力が低下していることや開放F値付近を選択すると画面中央以外の解像力が低下してメインの被写体が真ん中に配置されることが多いため、シャープなのにとろけるようなぼけにみえているだけといったことも少なくありません。

そして、絞る(大きなF値を選択する)と相対的に画面全体の解像力が上がるので、開放時に比べてシャープになるといった意味で絞るとシャープと評価されていることもあるようです。

使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/4.0 シャッタースピード:1/2,000秒 ISO感度:100 露出補正:+1/3段(APS-Cサイズのカメラで撮影)

F2.0前後からSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは画面全体の解像力がほぼ変化しないので、被写界深度がどこまでほしいかで絞りを決められます。


これに対してデジタル時代、さらにいうなら最近のミラーレス一眼向けの高性能レンズのトレンドは「基本的に絞り開放からシャープ」といった傾向にあります。

実は、この絞り開放から画面全体に均一でシャープなというトレンドは、最近のものではなく、市販のレンズで実現されるようになったのが最近といったほうがいいのかもしれません。

明るいレンズではとくに発生しやすい開放撮影時の収差を軽減するといった工夫で画面中央はもちろん全体の解像力を確保、また同じように大口径レンズの絞り開放時に画面の四隅などで発生しやすい収差などを抑制することで、絞り開放でも画面全体の均一な解像力を確保した最新ミラーレス一眼向けレンズが設計・制作されるようになったのでしょう。

絞り開放から画面全体で均一に解像力の高いSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは、そんな現在のミラーレス一眼向けの名玉の1本といえます。


使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

使用フィルター:Kenko ND400 プロフェッショナル

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/5.6 シャッタースピード:8.0秒 ISO感度:100 露出補正:+2/3段(APS-Cサイズのカメラで撮影)

絞りによる解像力の変化はほとんどないので、ND400との組み合わせでのシャッター速度とある程度以上確保したい被写界深度だけを考えてF5.6としました。


SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSの場合、厳密にいうと絞り開放のF1.2からF1.8くらいまでは十分以上ではありますが、F2.0からF11付近までに比べて、多少画面全体の解像感が落ちる部分があります。

また、F11以降は回折や小絞りぼけで解像力が低下します。

そのため、画面全体の解像力に気を使うシーンではF2.0からF11くらいまで、さほどの神経質なシーンでないのならば、開放のF1.2からF11くらいまでは、ほしい被写界深度(ぼけてないように見える範囲)だけでF値を選択していいレンズになります。



使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/1.2 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100 露出補正:+1 2/3段(APS-Cサイズのカメラで撮影)

絞り開放でも画面全体の解像力が均一に高いので、画面の端の部分でピントを合わせてもピントの合った部分とぼけの部分の差が明確になります。


SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSのように大口径でありながら、絞り開放から画面全体で均一に解像度が高いと、画面の端でピントを合わせてもしっかりとシャープに描写され、それ以外のぼけている部分との差が明確に描写されます。

これに対して絞り開放で画面全体の解像力が低下したり、中心部以外のぼやけしまうようなレンズでは、ピントの合った部分とそうでない部分の差を明確にしづらいので被写体を配置する位置を工夫するなどの対処が必要です。

現在のミラーレス一眼用のレンズは大口径であっても、絞り開放から画面内で均一に解像力が高く、絞り値によって画面内の解像力が極端に変化しない方向を目指しているものが多く、選択できるF値だけでなく、ピントを合わせる位置の選択肢も広く、ユーザーの好きな設定で思いどおりに撮影できるスイートスポットの広いレンズが増えているといえます。


使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/8.0 シャッタースピード:1/2,500秒 ISO感度:100(APS-Cサイズのカメラで撮影)

マニュアルフォーカスレンズなので、線路に置きピンして被写界深度の広いF8.0で連写して撮影しています。


ある意味、昔の名玉は、絞り開放時などに発生する各種収差の影響を撮影者が把握し、これに配慮して、被写体を画面の中央に置いてピントを合わせたり、解像力を確保するために絞りを絞ったりと「わかっている私だから使える名玉」といった部分の楽しみもあったのでしょう。

これに対してSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSを含む現在の名玉たちは、撮影者はレンズに気を使う必要がなく、ぼけや被写界深度にさえ配慮すれば、好きなF値で好きな位置にピントを合わせて、よりどう撮るかという部分に集中して純粋に撮影できるレンズになっていると感じます。

実は、大口径でも絞り開放から解像度が画面全体に高いレンズは昔からの目標値だったのでしょうが、レンズの設計の高度化と光学材料の進化、各種収差を軽減するコーティング技術などの革新などによって、現在ではそのようなレンズを実現できるようになったということなのでしょう。

ただし、現在でもそんなわがままに応えてくれる名玉は少数派であり、数多くのレンズのなかから自分のあった名玉を探し出す必要はあるわけですが……。

SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは、開放F1.2という明るさを確保しながら絞り開放から画面全体で高い解像力を発揮し、大口径で被写界深度外の被写体を美しくぼけしてくれる、撮影者のわがままに応える現在の名玉と呼べる1本だと私は思っています。

好きな絞りで、思うように撮影しても、しっかりとシャープに描写してくれるSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSをぜひ体験してみてください。


齋藤千歳

齋藤千歳

Amazon Kindleを中心に写真・カメラ・レンズ関連の電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ」や「Foton機種別作例集」を手掛ける電子書籍出版社。月刊カメラ誌の編集を経て、海外にてカメラメーカー関連の解説書籍や機能PR用冊子などを制作。帰国後、北海道・千歳市にて電子書籍出版社として独立。2017年は10月までに約200冊の電子書籍を出版し、70本のレンズを試写した。カメラ・写真関連の多くの情報を発信している。Facebookページはhttps://www.facebook.com/Foton.uncool/

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