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齋藤千歳の感動表現|F1.2の絞り開放から本気で使える希有な大口径レンズSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSの開放絞りに酔う

みなさん、撮ってますか! 齋藤千歳です。

今回、紹介するSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSだけでなく、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS、SAMYANG 85mm F1.8 ED UMC CSを数カ月に渡ってテスト、撮影していたわけですが、その高性能ぶりには感心しています。

描写の性能面での実写チャートによる結果などは

SAMYANG 85mm F1.8 ED UMC CS 機種別レンズラボ

SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS 機種別レンズラボ

SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS機種別レンズラボ

でご確認いただけると幸いです。

3本のサムヤンのAPS-C専用ミラーレス一眼用レンズのなかでも、明るさと価格が頭ひとつ違うレベルにあるSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは、画質もワンレベル上の印象です。

私がこれまで数多くのレンズをテストさせてもらい、最近では経験的に「このレンズは高性能なのでは?」と期待するレンズには下記の条件があります。

・ミラーレス一眼レフ向けの専用設計であること

・単焦点レンズであること

・マニュアルフォーカスレンズであること

・レンズ側に手ぶれ補正機構がないこと

・35mm判フルサイズ用よりもAPS-C向けであること

・レンズのサイズが比較的大きめであること

メーカー純正などで最新の35mm判フルサイズ用に35mm判フルサイズ一眼レフ時代の常識とは異なった価格とサイズでラインアップされる一部レンズを除くと上記の条件を多く満たすものほど高画質であることが多いように感じます。

サムヤンのAPS-C専用ミラーレス一眼向けのレンズは、この条件をほぼ満たすものが多くなっています。

なかでもSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは、私が最上級レベルと表現する極めて高い性能を発揮してくれます。

使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/1.2 シャッタースピード:1/1,600秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

50mmF1.2の開放とは思えないピントの合ったシベのシャープネス、画面手前のぼけのなめらかな美しさとすばらしい描写です。

SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSが絞り開放のF1.2から解像度が高く、画面全体の四隅までしっかりと描写することを「なんで、そんなに賞賛するの? レンズなんて絞り開放からちゃんと写って当たり前でしょ」と思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、チャートの撮影などでテストをした経験のある方ならご存じでしょうが、開放F2.0を切り始めると単焦点レンズでも周辺画質はかなり怪しくなってくるレンズも多いのです。

さらにF1.4以下などの画質的にかなり危険領域といえ、画面中央の画質すらフワッとやわらかくなったり、解像度が極端に落ちたりすることも珍しくありません。

これがF1.2以下となると「もしかするとF1.2でも撮影できますよ」といったおまけレベルで選択可能なのではと思うことすらあるわけです。

使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/1.2 シャッタースピード:1/2,000秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

ピントの合った瞳のなかには撮影者の背後にある建物がしっかり描写されています。また、被写界深度内の毛は1本1本がしっかり解像しています。

すなわち、開放F値は明るいけど、中央はもちろん、周辺画質まで考えると基本的には少し絞って使うのがおすすめというレンズも多いわけです。

確かにSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは、APS-C専用の50mmなので、35mm判フルサイズに対応したレンズで考えるとAPS-Cはレンズの中央部分しか使わないので周辺画質についてはアドバンテージがあります。

また、35mm判フルサイズに比べると同じ焦点距離、同じ絞りなどの同条件でもぼけが大きくならないといった弱点もあるでしょう。

重箱の隅をつつくような指摘をするなら、SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS でもF1.2よりもわずかに絞ったF1.4のほうがシャープネスが向上しますし、F2.0以降のほうが画面全体の解像力がさらに安定することも事実です。

使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/1.2 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100 露出補正:+1 1/3段(APS-Cサイズのカメラで撮影)

絞り開放でも画面全体で高い解像力が確保されていることがわかっているので、画面上部の花にピントを合わせて多くのぼけを発生させました。

せっかく開放F値の明るい大口径レンズを購入したら、もっとも大きくぼける絞り開放で撮影して、SNSやブログなどにアップしたいのが人情というものではないでしょうか。

しかし、絞り開放で極端に画質が低下するとしたら、やはりわかっているからこそ、ちょっと絞ってといった使い方になるわけです。

絞り開放で画面周辺の画質だけが低下することがわかっていれば、せっかくの絞り開放も被写体を画質の安定しやすい画面の中央にもってきてピントを合わせるといった制限を自ら課すことになってしまいます。

使用レンズ:SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS

◎焦点距離:75mm相当 絞り:F/1.2 シャッタースピード:1/1,000秒 ISO感度:100 露出補正:+12/3段(APS-Cサイズのカメラで撮影)

絞り開放のF1.2でも画質の低下が画面全体に少ないことがわかっているので、意図して主役を画面の端に配置して撮影しています。

SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSは、APS-C専用のマニュアル単焦点レンズとしては、少し高めの実勢価格8万円前後ですが、余計なことを考えることなく、好きなように絞り開放のF1.2を楽しめる非常に高性能なレンズになっています。

開放F1.2の大きくやわらかなぼけとピントを合わせた部分のシャープな描写を素直に堪能できる幸せな大口径単焦点レンズになっています。

APS-Cのミラーレス一眼を使っていて、レンズラインアップのなかに明るい単焦点をと考えるなら、ぜひ検討してほしい1本です。

余計なことは考えず、開放F1.2の大きくやわらかなぼけと合焦部分のシャープな描写の対比を楽しんでみてください。

齋藤千歳

齋藤千歳

Amazon Kindleを中心に写真・カメラ・レンズ関連の電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ」や「Foton機種別作例集」を手掛ける電子書籍出版社。月刊カメラ誌の編集を経て、海外にてカメラメーカー関連の解説書籍や機能PR用冊子などを制作。帰国後、北海道・千歳市にて電子書籍出版社として独立。2017年は10月までに約200冊の電子書籍を出版し、70本のレンズを試写した。カメラ・写真関連の多くの情報を発信している。Facebookページはhttps://www.facebook.com/Foton.uncool/