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齋藤千歳の感動表現|ミラーレス一眼時代の超広角はコンパクトで高性能なだけでなくSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSはフィルターも使用可能です。

みなさん、撮ってますか! 齋藤千歳です。

ここ数カ月、サムヤンのミラーレス一眼APS-C撮像素子機向けのレンズを使って、チャートや実写を撮影して電子書籍のレンズラボシリーズを制作しています。

今回、ご紹介するSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSだけでなく、SAMYANG 85mm F1.8 ED UMC CSやSAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CSも同時期に使用していたのですが、その性能に高さはちょっと驚きのレベルです。

詳細は『SAMYANG 85mm F1.8 ED UMC CS 機種別レンズラボ』や『SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS 機種別レンズラボ』、間もなく発売予定の『SAMYANG 50mm F1.2 AS UMC CS』でご確認いただけると幸いです。

コンパクトで比較的リーズナブルな価格でありながら、絞り開放からのシャープで画面全体の描写性能が高いのが全体的な特徴になっています。

最近流行の35mm判フルサイズミラーレス一眼カメラ用のレンズのでかい、高い、高性能とは異なった傾向といえるでしょう。

コンパクトで高性能、低価格なSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSですが、レンズ前玉の前に装着するねじ込み式のフィルターが使えるという点が実は大きな注目ポイントになっています。

使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:なし

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/8.0 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

春の晴天に恵まれた北海道・安平町で撮影したナノハナ畑と空の写真です。ナノハナの黄色と空の青の発色がキモといえる写真になっています。

「フィルターが使えるのは当たり前では?」と思われる方も多いと思います。

しかし、これまでの超広角レンズの世界では、明るい超広角を実現するために「出目金レンズ」などと呼ばれる前玉が非常に大きく、まるで半球のように湾曲した前玉をもつレンズになることが多く、これらのレンズでは普通にレンズのようにレンズの前にねじ込み式のフィルターを装着することができないのはよくあることでした。

そのため、特殊なフィルターをレンズの前に装着するか、レンズのもっとも後の部分にフィルターを貼り付けるなどの方法で対処しているのが実情です。

装着の難易度が高く、面倒なこともフィルターの使用自体を諦めることも珍しくありません。

そのため、超広角レンズの世界では、ねじ込み式のフィルターがそのまま使えることは大きなメリットなのです。

APS-Cミラーレス一眼カメラ用のSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSは、これを実現しています。

使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:Kenko ZX C-PL

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/8.0 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

ナノハナの黄色との対比効果で写真を印象的にしてくれる空の青の濃度をさらにアップするためにC-PLフィルターを使って撮影しました。

ハイアマチュアやプロのカメラマンの多くは、カメラバッグのなかに複数枚のフィルターを入れるフィルターケースが入っていると思います。

RAW現像などで撮影後の画像処理がパソコンなどで行えるといっても、撮影時にフィルターでしかできない写真の印象を強めるテクニックがあるからです。

フィルターが使えない超広角レンズを使っているときは、それらのテクニックが使えなくなり、撮影のバリエーションも減ってしまいます。

私の場合は、C-PL、高濃度ND、プロソフトンのAとB、ハーフND、これに最新のスターリーナイトフィルターがいつも持ち歩く定番フィルターです。

これらのフィルターを使うとデジタルによる後処理では難しい各種効果が得られます。

すでに掲載した作例では、C-PLフィルターによる空気中のチリやホコリによる乱反射を抑えて青色をより濃くする効果を使っていますが、これを同じ効果をレタッチなどで得るのはかなり難しいと思います。

C-PLは風景撮影の超定番といえるフィルターですが、超広角レンズでは使用できないレンズも多かったのです。

使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:Kenko ND400 プロフェッショナル

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/4.0 シャッタースピード:4.0秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

流れ落ちてくる滝の水流をNDフィルターでぶらし、静止している雪や氷などとの対比効果で動きを表現する滝の定番撮影法を使っています。

静止画である写真で画面の内に動きを表現するために、よく使われるのが「ぶれ」です。

滝や渓流の流れなどを表現する際に定番の方法ですが、これにはレンズに入る光の量を低下させるNDフィルターや高濃度NDフィルターを使うのがお約束になっています。

レンズ前面が球状になった出目金レンズでは、この手法も使えなかったわけです。

SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSであれば、明るい広角でありながら、動きを表現する手法もフィルターで簡単に行えるわけです。

使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:Kenko MC プロソフトン(B)N

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/4.0 シャッタースピード:13秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

ソフトフィルターのMC プロソフトン(B)Nを使って、星を光の強さに合わせて、にじませて大きさが異なるように撮影しています。

もともとSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSは、絞り開放から解像力が高い明るい超広角レンズなので、星や星景写真を撮影するユーザーから非常に高い支持を得ています。

星や星景撮影時にフィルターが使えるとKenko MC プロソフトン(B)Nなどのプロソフトン系のソフトフィルターを使うことで、星の光の強さに応じてにじませて異なるサイズで表現することができようになります。

このプロソフトンを使った撮影手法はデジタルにおける星、星景写真の定番であり、レンズの前に装着するねじ込み式フィルターが使えない超広角レンズでも、同様の効果が得られるようにさまざまな努力がされてきました。

SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSであれば、このような努力はいりません。

いままでのねじ込み式フィルターをそのまま使うことができるのですから。

使用レンズ:SAMYANG 12mm F2.0 NCS CS

使用フィルター:Kenko MC プロソフトン(B)N+Kenko スターリーナイト

◎焦点距離:18mm相当 絞り:F/4.0 シャッタースピード:13秒 ISO感度:100 (APS-Cサイズのカメラで撮影)

ソフトフィルターのMC プロソフトン(B)Nにプラスしてスターリーナイトフィルターでオレンジ色のナトリウム灯の影響を抑えました。

同じケンコー・トキナー写真ブログのソフトフィルターブログでは、すでにご紹介していますが、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSは普通にねじ込み式の円形フィルターが使用できるので、フィルターの重ね付けも可能です。

今年の4月に発売され、いまや大人気の水銀灯とナトリウム灯の影響を低減してくれる光害カットフィルターのスタリーナイトとMC プロソフトンを重ね付けすると、街灯などの影響を低減しながら、星の光の強さに応じて異なる大きさに表現することができます。

今後の星景撮影の定番的な使い方になりそうな予感のする組み合わせなのですが、SAMYANG 12mm F2.0 NCS CSはこれも問題なく可能です。

普通にフィルターが使えるか? 使えないか? を多くの人々が気にする理由がよくわからないという方もいるかもしれませんが、超広角レンズで普通にフィルターが使えるということは、表現の幅を大きく広げてくれます。

レンズの光学性能の高さだけでも非常に魅力的なSAMYANG 12mm F2.0 NCS CSですが、さらに普通にフィルターが使えることは、その魅力をさらに際立たせてくれる大きな要因になっています。

超広角レンズを購入する際には、ねじ込み式フィルターが普通に使えるか、どうかもぜひ選択材料にひとつに入れてみてください。

齋藤千歳

齋藤千歳

Amazon Kindleを中心に写真・カメラ・レンズ関連の電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ」や「Foton機種別作例集」を手掛ける電子書籍出版社。月刊カメラ誌の編集を経て、海外にてカメラメーカー関連の解説書籍や機能PR用冊子などを制作。帰国後、北海道・千歳市にて電子書籍出版社として独立。2017年は10月までに約200冊の電子書籍を出版し、70本のレンズを試写した。カメラ・写真関連の多くの情報を発信している。Facebookページはhttps://www.facebook.com/Foton.uncool/