齋藤千歳の感動表現|ほかでは得られない個性的なやわらかな描写が魅力的なSAMYANGAF 85mm F1.4 EF

みなさん、撮ってますか! 齋藤千歳です。

サムヤン初の中望遠AFレンズであるSAMYANGAF 85mm F1.4 EFで『SAMYANG AF85mm F1.4 EF 機種別レンズラボ』(https://www.amazon.co.jp/dp/B07JR95XTJ/)用の撮影をしていて、ふと思い出したのが「レンズ設計は結局トレードオフなんですよ」という、あるレンズメーカーさんの言葉です。

極端にいうなら、例えばF1.0の明るさで絞り開放から極限の解像力を持つようなレンズを設計することも可能だといいます。

ただし、この場合、販売価格やレンズのサイズといった部分は、トレードオフの影響を受けるので、とんでもないサイズと目玉の飛び出るような価格になるといいます。


使用レンズ:SAMYANGAF85mm F1.4 EF

◎焦点距離:85mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/1,250秒 ISO感度:100 補正値:+2/3段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

開放のF1.4で撮影した紅葉の風景です。85mmの中望遠による適度な距離の圧縮効果とF1.4の狭い被写界深度によるぼけでおもしろい効果が得られました。



カメラのメーカー純正のように単焦点にズーム、超広角から超望遠までラインアップをそろえているメーカーのレンズで、85mmのF1.8、F1.4、F1.2がある場合、みなさんは、どのレンズがいちばん高性能だと思いますか。

私は85mmF1.2がもっとも高性能で、もっとも高いと勝手に思ってしまいます。

しかし、カメラ・レンズメーカーやカメラファンのなかのレンズラインアップのセオリーともいえる明るいレンズほど高性能という常識は、さっきのレンズの設計の常識、トレードオフと矛盾しませんか。

多くのカメラメーカーの純正レンズは、矛盾するトレードオフ関係である明るいレンズほど高性能を成立させるために、当然大きくて高価というトレードオフを支払っているといえるわけです。

実際に高価なレンズに支払いをするのはユーザーなわけですが……。

同じ焦点距離で開放F値が明るくなるほど、開放での解像力などの描写性能はアップしなくてはならないというトレードオフと矛盾した課題をクリアしないとカメラメーカーの純正レンズはラインアップを増やせないということなります。

逆にラインアップ上の問題が発生しないメーカーは、画質はそのままでリーズナブルな明るいレンズも作れるということになります。


使用レンズ:SAMYANGAF85mm F1.4 EF

◎焦点距離:85mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/800秒 ISO感度:100 補正値:+1/3段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

絞り開放のF1.4で撮影した青い池。手前の立木にピントを合わせているので、前後はぼけて立体感が強調され、写真の奥行きが感じられます。



多少大きくなるのは構わないので、画質はF1.8と変わらないレベルで、しかし、大きなぼけが得たいので開放F値は明るいレンズを安く発売してほしいというのは、一般的なユーザーの本音ではないでしょうか。

F1.8がF1.4に、2/3段明るくなると価格が3倍といわれると、一般ユーザーはもちろん、ハイアマチュアやプロだって考えてしまうのではないでしょうか。

当然、急激に値段が上がるのは、明るくしながら同時に高画質化のトレードオフが、レンズの大きさと価格に反映されるので正当であるともいえるのです。

例えばですがF1.8とF1.4のレンズの画質を同じにしたまま、明るくしたとしましょう。

すると明るい分だけF1.4のレンズのほうが高価になると考えられます。

レンズの設計はトレードオフだということがすべての方が理解していれば、高いけど明るいだけで画質は変わらないのは仕方ないと理解してくれる可能性はあります。

しかし、普通のユーザーは「わざわざ高価なほうのレンズを買ったのに画質が変わらないなんておかしい」と感じるのではないでしょうか。

すると、明るいレンズほど大きく高価で高画質のほうがすべての人が納得しやすいので、現在のレンズのラインアップのセオリーがあると考えられます。

極端にいうなら、カメラメーカーの純正レンズは、基本的に明るいものほど高性能というルールを破ることができないのでしょう。


使用レンズ:SAMYANGAF85mm F1.4 EF

◎焦点距離:85mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/2,000秒 ISO感度:100 補正値:+1/3段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

絞り開放の特に近距離の撮影でピントの合った部分もややにじむような描写になるのもSAMYANGAF85mm F1.4 EFの特徴といえます。



レンズだけではなく、カメラ本体などを含むシステム全体をもつカメラメーカーは各焦点距離ごとの明るさの違うレンズなどもラインアップしており、基本的に明るいものほど上位機種というセオリーを破ることは難しいと思います。

一方、レンズメーカーは、レンズラインアップのセオリーを破ることも可能といえます。

画質は実際の撮影に十分であればいいので、大きなぼけなどが簡単に得られる明るいレンズを安くラインアップしてほしいという一般ユーザーの本音ともいえる要望に応えたレンズを設計できるわけです。

しかも、しっかりとしたセオリーどおりのレンズは、純正ラインアップにあるので、純正とは違う個性的な特徴をもたせることもできるわけです。


使用レンズ:SAMYANGAF85mm F1.4 EF

◎焦点距離:85mm 絞り:F/1.4 シャッタースピード:1/1,600秒 ISO感度:100 補正値:+1/3段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)

最新の単焦点レンズとしては、絞り開放の描写がやわらかいと評価されるSAMYANGAF85mm F1.4 EFの開放描写を確認してほしい1枚です。



SAMYANGAF85mm F1.4 EFは、ライバルと考えられる同じ焦点距離、同じ明るさのカメラメーカー純正レンズのほぼ半額と非常にリーズナブルな価格で、レンズメーカーでなくては出せない個性的な描写が魅力の1本に仕上がっています。

私が出版しております『SAMYANG AF85mm F1.4 EF 機種別レンズラボ』では、各種実写チャートを使って、各絞りにおける解像力の変化やぼけの様子、周辺光量落ちなどSAMYANG AF85mm F1.4 EFの描写を詳細に解説させていただきました。

この結果を簡単にまとめると、SAMYANG AF85mm F1.4 EFは、特に近距離での撮影時に絞り開放付近でにじむようなやわらかな描写が発生すること、F1.4の開放描写を重視して設計されたためか、絞ってもコントラストは上がるが解像力自体はほとんど変化しないといった極めて個性的な特徴をもっていることがわかっています。

私個人としては、SAMYANG AF85mm F1.4 EFの開放での個性的な描写は、分かっていて使うには非常に魅力的です。

85mmという焦点距離の特徴上、女性ポートレートはもちろん、花などを撮影しても、ほかのレンズでは得られない描写が得られます。

現在は、多くのレンズメーカーからさまざまなレンズが発売され、豊富な選択肢が得られる状況になっています。

特にレンズメーカー製のレンズはカメラメーカー純正の比べて、リーズナブルで個性的なものが多く、非常に魅力的です。

ただし、レンズのそれぞれの個性を理解していないと、せっかくのレンズの個性を活かして、撮影を楽しむことができないこともあります。

情報の少ないレンズもありますが、サムヤンレンズについては多くのレンズを、私が出版している「レンズラボ」シリーズで実写チャートを掲載し解説しています。

ぜひ、ご自分の目でレンズの特徴を確認して個性豊かなレンズメーカー製レンズを楽しんでみてください。​​​​​​​

齋藤千歳

齋藤千歳

Amazon Kindleを中心に写真・カメラ・レンズ関連の電子書籍「ぼろフォト解決シリーズ」や「Foton機種別作例集」を手掛ける電子書籍出版社。月刊カメラ誌の編集を経て、海外にてカメラメーカー関連の解説書籍や機能PR用冊子などを制作。帰国後、北海道・千歳市にて電子書籍出版社として独立。2017年は10月までに約200冊の電子書籍を出版し、70本のレンズを試写した。カメラ・写真関連の多くの情報を発信している。Facebookページはhttps://www.facebook.com/Foton.uncool/

SAMYANG AF 85mm F1.4 EF


安価で明るく絞り開放での独特のやわらかな描写が特徴の
SAMYANGAF 85mm F1.4 EFは個性派美人