みなさん、撮ってますか! 齋藤千歳です。
2018年に引き続き、2019年もAmazonKindle電子書籍で『SAMYANG XP85mm F1.2機種別レンズラボ』や『SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC機種別レンズラボ』、さらにはレンズデータベースシリーズで「キヤノン RFレンズ」や「ニコン Zレンズ」などの最新の高性能レンズを使って、チャートや実写を撮影していました。
なかでも、『SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC機種別レンズラボ』で取り上げたSAMYANG 135mm F2.0 ED UMCは、実写撮影チャートの結果からも、高性能は一目瞭然、最近のお気に入りレンズのひとつになっています。
実はそんななか、気になっているのがSAMYANG 135mm F2.0 ED UMCを含む大口径単焦点レンズでのピント合わせです。
使用レンズ:SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC
◎焦点距離:135mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/1,600秒 ISO感度:100 補正値:+1.0段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
WEBへの掲載サイズでは確認できないかもしれませんが、ピントが来ているのは向かって右のつぶった瞳の部分だけです。すでにヒタイやヒゲはぼけています。
こんなことをいうとフォトグラファーとしての資質を疑われてしまうかもしれませんが、SAMYANG 135mm F2.0 ED UMCやSAMYANG XP85mm F1.2を一眼レフに装着した際に、絞り開放での近接から中距離くらいまでのピントは撮影後に自分が納得できるレベルでは、私個人は見えていないと感じるのです。
思う以上にピント合わせはやりやすいといったコメントも見るので、私だけかもしれません。
しかし、SAMYANG 135mm F2.0 ED UMCの開放F2.0を使って最短撮影距離の80cmだと被写界深度は理論値で4mmほど、SAMYANG XP85mm F1.2も最短撮影距離が80cmなので同条件だと被写界深度は約6mmしかないのです。
みなさん、本当に光学ファインダーだけで納得できるレベルのピントが見えているのでしょうか。
使用レンズ:SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC
◎焦点距離:135mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/1,000秒 ISO感度:100 補正値:+1段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
この写真ですが、私のなかでは向かって右目に合わせたピントがちょっとあまいのですが、掲載サイズでご覧いただけるでしょうか。
最近とみに大口径単焦点レンズの開放でのピントが気になるのには、3つの理由があるように感じます。
ひとつはレンズの高性能化、ふたつ目はカメラの多画素化、そしてモニターの大型化と高精細化です。
実は高価な大口径単焦点レンズでも明るい絞り開放では描写のあまくなるレンズは珍しくありません。
また、絞り開放では中央部分はシャープですが周辺部分はあまいことはよくあるので、絞り開放で画面周辺のピントを合わせたのにあまいのはレンズのせいで合焦の問題ではないと判断できたのです。
しかし、SAMYANG 135mm F2.0 ED UMCのように絞り開放から周辺部分までシャープなレンズでは、あまさはダイレクトにピントのあまさと考えられるので、撮影者としてよりピントにシビアにならざるえません。
カメラの多画素化は、簡単に100%表示や等倍表示で画像を観察できるデジタルデータでは、よりピントにシビアになる大きな原因です。
ただし、ズームレンズはもちろん、明るい大口径単焦点レンズでも絞り開放付近では、撮像素子の理論値ほどの解像していないことも珍しくないので、多画素化が進んでも画像があまいのはピントの問題だけではないといえたのです。
だからこそ、SAMYANG 135mm F2.0 ED UMCのように絞り開放から周辺部分まで、カメラ側の理論値を超えるほどの解像力をみせるレンズでは、いままで以上にシビアにピントを合わせる必要を感じるわけです。
『SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC機種別レンズラボ』(https://www.amazon.co.jp/dp/B07N2PN1JX/)に掲載した解像力チャートの実写データは気持ちよいくらいなので、ぜひご覧ください。
使用レンズ:SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC
◎焦点距離:135mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/3,200秒 ISO感度:100 補正値:+1段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
オリジナル画像では、ピントが合っているのは右端の雪の塊だけです。また、絞り開放の周辺部分ですが、雪の塊の先にある雪(氷)の結晶も解像しています。
最後にモニターの大型化と高精細化なのですが、みなさんは何インチくらいのモニターで写真やネットなどを見ていますか?
私は55インチの4Kをメインモニターにしています。
メインモニターを変えてから、実はいままで以上にピントに神経質になったのです。
画像ブラウザーソフト、我が家はAdobeBridgeがメインですが、プレビューの画像サイズが画面上の実寸でB4近いサイズになります。
B4サイズのプレビューでセレクトしながらPhotoshopで画像を開いて、実寸で約90cm×60cmのサイズで全体を観察したり、等倍やそれ以上でピントを確認したりするわけです。
するとピントのしっかり合っている画像は非常に気持ちがよいですし、逆にピントの合っていない画像はとても気持ちが悪くなります。
使用レンズ:SAMYANG 135mm F2.0 ED UMC
◎焦点距離:135mm 絞り:F/2.0 シャッタースピード:1/400秒 ISO感度:100 補正値:+1 2/3段 (35mm判フルサイズのカメラで撮影)
ブログの掲載サイズでは見えないと思いますが、画面下のへこみの奥側のフチに毛のように生えた氷の結晶にピントを合わせています。
SAMYANG 135mm F2.0 ED UMCのように絞り開放から周辺部分までシャープに解像するレンズの場合は特に、撮影後の観賞サイズの大画面化もあり、私にとっては光学ファイダーでは観察しきれない約4mmという被写界深度のほぼ中心となるピント面をしっかりとみせたい部分に合わせたいのです。
一眼レフにしてもミラーレス一眼にしても、ライブビューは当然、画像の拡大表示やピーキングなどを活用して、ぜひしっかりとピントを合わせて撮影してみてください。
しっかりとピントの合った画像のピント位置を拡大して確認すると「うわぁ、ここまで写るんだ」という感動と画像全体で観賞してときにもピントの合った部分のシャープさと大きなぼけのコントラストが確認できるはずです。
面倒に感じるかもしれませんが……、というか難易度も高いですし、面倒ですが高性能な大口径単焦点レンズの真価を発揮させるには、厳密なピント合わせは必須といえます。
SAMYANG 135mm F2.0 ED UMCのような高性能な大口径単焦点レンズを使う際には、ぜひいつも以上に厳密にピントを合わせて、大きなサイズで観賞してみてください。
高価で高性能な単焦点レンズの本当の価値を感じることができると思います。