國政寛の感動表現|前後左右にも自在に動いてさらに自由な作品づくりを!
リコリスのしべにぶら下がった滴を見つけました。
できるだけ大きく撮りたいので、最短撮影距離付近まで近づいて撮影しています。
こんな場合、まずは最短撮影距離まで寄った後でピントの微調整をしますが、「あともうほんの1mmぐらいだけ後ろに下がりたい……」というように、撮影位置をほんの少しだけ前後に動きたいことがよくあります。
マクロ撮影では、ほんの1mmの違いでもボケ味や背景の入り方などが大きく変わるので、写真がぜんぜん違ったイメージになるんですね。
思い描いた絵にするためには、たった1mmにも拘って撮影したいものです。
ところが一般的な雲台は、3Way・自由雲台に関わらず、水平垂直には動かせても前後左右に動かすことができません。
そのため、三脚自体を動かして撮影位置を調節することになります。
三脚の脚をそ~っと触って、動きすぎないように微妙な力加減でゆっくりゆっくり押したり引いたり……。
たいていは一回でぴたっと合うことはなくて、何度も何度も押したり引いたりを繰り返します。
端から見ている人はきっと「あの人一体何をやってるんだろう……?」と不思議がっていることでしょう。
で、そんなことを何度も繰り返すのですが、なかなかちょうどいい位置になってくれません。
時には三脚を動かしている間に風が吹いて、花がファインダーから消えちゃってるなんてことも……。
この作業、集中力がいるので身も心も疲れ果ててしまいます。
もっと楽に前後左右に動かす方法はないのだろうか……。
あるんです!
それがケンコーの「2WAYフォーカシングレール」です。
「2WAYフォーカシングレール」は前後左右に動かすことのできるカメラ台で、三脚の雲台に取り付けて使用します。
前後、左右のカメラ台にはそれぞれツマミが付いていて、それを回すとゆっくりとカメラ台が移動していきます。
動く範囲は前後50mm、左右55mm。
これで三脚はそのままでカメラを前後左右に簡単に動かせるようになります。
上が一番左まで動かした写真。下が逆に一番右に動かした写真。
三脚の位置は同じですが、カメラの位置が変わっていますね。
今度は一番前まで動かした写真と一番後ろまで動かした写真です。
カメラと雲台の位置を比べてみて下さい。
上の写真はカメラの位置が雲台よりも前に出ているのがわかるでしょうか。
この写真だけ見ると、それほど違いはないと思うかもしれませんね。
でも、ほんの1mmの違いがイメージを大きく変えるマクロ撮影では、この違いはものすごく大きいものなんです。
三脚の微調整に心煩わせる必要がなくなれば被写体に集中できますし、よりいい写真が撮れそうな気がします。
『かくれんぼ』
~見つけられないふりして
そっと見つめてる~
花びらの間から滴を覗いて見てみました。
レンズから花びらまでの距離や角度が微妙に変わるだけでボケ具合や見え方が違ってくるので、少しずつカメラ位置を動かしながら何枚も撮っています。
真正面から花のシベをまっすぐ見つめて。
まず最短撮影距離まで寄った後、「2WAYフォーカシングレール」で位置を動かしながらシベの先に慎重にピントを合わせて撮影しました。
そして「2WAYフォーカシングレール」にはもう一つ、便利な使い方があるんです。
植物園などで撮影していると、立入禁止の柵やロープが張られていますよね。
こんな場合、近づけるギリギリのところに三脚を立てるしかありません。
でもその距離では花まで少し遠い場合も多くて、「あとほんのちょっとだけ寄りたいのに……」と思うことがよくあります。
だからといって、立入禁止の場所に「足」も「脚」も踏み入れるのはご法度。
これは諦めるしかないのか……。
さあ、そんな時にこの「2WAYフォーカシングレール」の出番です!
「2WAYフォーカシングレール」をセットした三脚にカメラを乗せて、カメラ台を一番前まで動かしましょう。
ほら、普通に三脚を立てた場合よりも、少し花に近づいて撮ることができるんです!
なんて便利なんでしょう!
いかがでしたか?
この便利な「2WAYフォーカシングレール」、ぜひ一度体験してみて下さい!
それではまた次回!